第一章の1!
プロローグ
僕はあの夏、何か確かな物を手に入れた。
それは脆くて壊れやすいガラクタだったのかもしれない。
でも、僕にとっては、すごく大切なものになった。
そう大切なものは両手でしっかりと、でも優しく掴んでいなければ
すぐに落として壊れてしまうから、僕は・・・
僕は彼女を強く、強く抱き締めた。
夕日が差し込む観覧車の中で僕は彼女に告白した。
第一章 幸せって、何だろう?
夏の日差しが照りつける中、クーラーの無い教室で僕、須藤純也は補習を受けていた。
僕はなぜか生まれつき運に見放されているのか、いつもテストの日になぜか風邪を引いてテストの期間か終わるといきなり、何も無かったかのように元気になるのだ。
そんな僕と同じ教室で補習を受ける生徒がもう一人いた。
名前は北風氷柱と言って名前のとおり冷たいと周りから言われている人だ。
いつも何を考えてるのかわからないからかクラスでも浮いてる存在になっている。
そして普通こういうキャラは成績優秀だから浮いているものだが彼女は違った・・・
「ルルルルルルル」そう小さく呟きながら真新しい動物の形をした、いかにも消しにくそうな消しゴムでプリントをゴシゴシ擦っている。
そうこれが彼女がクラスで浮く原因その名も・・・
不思議騒音マシーン! (ジャジャーン!とか流れている・・・はず)
まぁ、簡単に言うと時々チャネリングをしてないとダメな人種なのだ。
それはさて置き最近僕は彼女・・北風とやっている事がある。それは・・・
補習の一回目の日に起こった。
「一緒に大切なものを探してくれ〜?UFOじゃなくて?」
僕は補習帰りに北風に呼び止められ今や寂れて誰も来なくなった公園で告白でもされるのかと思ったら探し物を一緒に探してくれと言ってきたのだ。
どうやら大切な物を失くしてしまったらしい。
だけど大切な物が何かはまだ教えてもらっていない。
大切なものが何か聞いても北風は首を横に振るばかりで教えてくれない。
「じゃあ、どうやって探せばいいのさ?どんな形かわからないものは探すなんて不可能だ。それに大切ならちゃんと掴んどけよ。そうじゃないと・・・いや、なんでもない・・とにかく、だ。どんな形をしているかくらい教えてくれたって良いんじゃないのか?」
北風は僕の問いに少しだけ考えてから、ふらつきながら答えてくれた。
「えっとね、う〜んとね〜・・・・・わかんない。」可愛いとこもあるんだなと思いつつも「わからないのかよ!」僕は癖でツコッミを入れてしまう。
そのツッコミに北風は驚いたのかビクッっと振るえて、その場に座り込んでしまった。すぐさま僕は北風の手を掴んで近くのベンチまで連れて行ってそこに座らせてあげた。
「北風ごめん・・・大丈夫か?」と言いながら僕はそっと北風の背に触れる。すると北風はすぐに僕の手を払い除けるとバッと立ち上がり僕に向かって強い口調で
「わ、私に触れないでっ!」そう言うと走ってすぐそこの木の後ろに隠れてしまった。
僕は少し迷ったが北風の隠れている木の前まで歩いていって
「ねぇ、北風・・・」僕はそこまで言って言葉を詰まらせた。それから数秒間、木々の葉が風に揺られる音だけが二人を包む。
「北風はなんで僕に大切なものを探してってお願いしたの?」その僕の問いに北風は冷たく「暇そうだったから」僕の予想通り少し寂しい答えが返って来た。
「ねぇ、北風、人と話しするときはちゃんと顔見て話さないと気持ちは伝わりにくいよ?」そんな僕のアドバイスも空しく北風は「帰る」の、ひと言と僕を残してさっさと帰ってしまった。結局、大切なものが何かを聞けないまま次の日、僕が補習の二回目を受けに行った帰り北風に
「なにモタモタしてるの?探しに行こうよ。」そう言われたので断ろうと口を開きかけたとき、北風に腕を強く引っ張られお昼過ぎの街中に連れて行かれてしまった。
こうして僕は無理やり大切なもの探しとやらに付き合わされることになってしまったのだ。
えっとこれから二週間に一度のペースで載せていきたいと思っていますが、まぁあまり期待しないでください。願いの形も止まっていますのでそっちの方も書かなきゃなのでね。
今回のも途中で番外編にそれなきゃ良いけど・・・