嘘と温もり
私は成長するー…。変わることを恐れない勇気。
まっすぐ前を向いて歩こう。そう約束したから…
杠帝歌
村雨瞬
美袋響人
涼風涼雨
いつか、真実を知ったら納得してくれる...はず...
それまで辛抱...互いに...
ー春ー
この季節がやってきた…私の嫌いな季節…桜並木に導かれてやって来てしまった場所ー学校。今日から新たな一歩を踏み出すわけでそう考えただけで憂鬱…。
私は、杠帝歌。今日からこの桜ヶ丘高校の1年生。この高校は名前の通り、当たりが桜並木になっている。田舎町だからこそキレイ。それなのになぜ私が憂鬱なのかと言うと、この高校は生徒の8割が男子しかいないから。5年前までは男子校だったらしい。女子が多いのも苦手だけど、男子が多いのは女子だったら誰でもヤでしょ。なんて考えてるバイアスな人間だけど…
「桜キレイだなぁ…」
ポツリと、どこからともなく聞こえた声それに続いて
カシャカシャ、パシャリ。
シャッター音?が続く。どこから?あたりを見回すと、あ、後ろに男の子が1人。一眼レフ?もってる。また、
カシャ、パシャリ。 ……あ、撮った。堂々と撮った。
「おはよう、新入生?」
「え、うん…あなたは?」
「僕も。やっぱりここの桜並木は最高だね…」
「そうだね…じゃなくて!!何撮ってんの!?今人のこと撮ったでしょ?」
「え、うん?撮ったけど何で?」
な、なんで?ですって?
「人のこと勝手にとったら犯罪だよ」
「へぇ、そうなんだ…それより見てよ。桜、綺麗に撮れた」
え?今それよりって言った?この人…ほんとに…?
「写真撮るのうまいね…純粋で、汚れてない写真」
取り敢えず、ほんとに綺麗だった写真を褒めた
「何いってんの?当たり前でしょ。美人さんが写ってるんだもん」
「どこに?笑」
どこに美人が写ってるの?
「えー、ほらここにいるじゃん!」
え、私…?
「社交辞令がなってるのね」
「社交辞令?何それ、難しい単語知ってるね」
社交辞令くらい知ってるよ、誰だって…
「…ってか、学校入んないと入学式早々遅刻になるよ」
「あ、じゃあ、急いだ方がいいんじゃない?」
「あなたは?急がないの?」
同じ新入生だよね…?さっき、言ってたし…なのに、なんで急がないの?
「僕はいいの…ほら、早く行かなきゃ遅れちゃう!」
「え、あ、う、うん…じゃあ、またね…」
「うん…じゃあ、またね…」
少し、ほんの少し、悲しい顔をしたような気がしたけど…急がないと…
「あぁ、言っちゃった…僕の事見える唯一の子…」
~続~




