スペースDJが気にかけていること
今は消えた朱紅の娼婦
一夜限りの僕と君
窓の外では鳥が舞い
老いた夫婦が抱きあって
ウェイトレスはカフェを運び
ウェイターはあの娘に夢中なのさ
痺れるほどの葡萄酒を
胸の中に注ぎ込んで
「愛」と呼べるものは
どこかへ落としてしまったけれど
孤独好きな君のことは
このスペースDJが気にかけてるのさ
ガソリンの匂いが
鼻孔くすぐる 夜明けには そう
エアタクシーが迎えに来て
君を誰も知らない場所へ
オイルの香りが
立ち込める そんな夜明けには
タイムマシーンが迎えに来て
君を想い出の あの場所へ
ただ運んでくれるのさ
僕と君は他人となって
朝もやで また孤独の最中へ
名前も知らない君と
身の上も明かさない僕と
一晩だけの情事で
何を分かり合えるというの
「永遠」と呼べるものは
どこかへ無くしてしまったけれど
気紛れな君のことは
このスペースDJが気にかけているのさ
アスファルトの匂いが
目を眩ませる そんな夜明けには
機械仕掛けの馬車が迎えに来て
君を誰も探せない場所へ
ガスライターの香りが
心を震わせる そんな朝には
タイムマシーンが迎えに来て
君を懐かしい郷愁の場所へ
ただ運んでくれるのさ
僕と君は見知らぬ人へ
成り変わり また孤独の最中へ
いつも見ていた景色が
色づいて 見えた時
君は一人きりの心地よさで
煙草を吹かすのさ
子供たちの歌声が 響き
輪になって踊る道化師が
また笑顔を見せた時
スペースDJはもう一度宇宙の片隅へ
そして僕は塵と消えるのさ