蝶屋敷で
アゲ姉がうるさいメガネザルとなげきながらガサゴソとまとめに戻ってきてまた出て行くのと同時に春樹が入ってくる。
「母さんまたテラス開けっ放しだし。ウミ、アラレ入っておいで。」
春樹が呼ぶと柴犬が二頭よってくる。
「またゴハンもらってないんだろ。あっ俊哉さんもう来てたんですね今日はありがとうございました。」
頭を下げる春樹だ。
「久々で楽しかったよ。また外に出されのかヨシヨシ。」
久々にあう二匹は歓迎してくれる。
「すいません。ちょうど〆切で母さんバタバタしててお茶入れて。こいつらにゴハンあげてきますね。」
春樹と二匹が出て行く。
先ほどの風景を思い出しため息つく。
まあトウマさんより春樹のほうがいいか、シホはトウマさんを捨てたのだろうか?
確か子供ができたとか言う話きいたけどまたダメになっちゃったのかな?
一時期、『ほっこり牧場』に静養のために来ていたときにあっていらいかな。
「お待たせてあら春樹が出したのね。いい香りでしょギンさんの特注なの。」
蝶が書かれたカップからほんのりバラの香りがする。
「母さん、またアラレ達だして忘れてたよ。ゴハンあげたよ。」
春樹に言われ慌ててまた出かけたあげねえが戻ってくる。
「しょうがないでしょ。ヒーちゃんが階段から落ちるし、メガネザルは来るし大変だったのよ。アラこんな時間。」
時計は真夜中の一時を指している。
「あのバカ達は朝まで帰ってこないわね。」
昴から連絡ないとこ見るとまだ飲んでいるようだ。
「聖さんは学校あるから帰ったよ。トウマさんと他は朝帰りだろうね。」
昴命の聖は被服の専門学校に通っているらしい。
「あのたらし男ほんとにどうしようもない。また女ひろってくるんだから。」
なげきながらビールをクーラーボックスからだす。
春樹はウミを撫でながら無言だ。
「菜穂ちゃん元気?瞳さんにまかしても良かったんだけどあそこは裏と繋がりあるから。」
チカ坊で瞳さんもせえいっぱいだろう。
「もう歩けるようになったし子犬ぐらいなら抱っこできるよ。」
なんて話してたら何だか心配になってきた。
キクさんのとこでちゃんと寝れてるかな?
「もうアンヨか、早いわね。春樹なんてナカナカ立っちもしなくて大変だったのよ。それにしてもトウマたらまた女連れ込んでくるしたまらない。もう私、事務所クビにしようかしら。」
トウマさんこりないな。
春樹はどう思っているのだろう。
「ハル、もう寝たら?」
ソファでウトウトしている春樹にいう。
うなずいて出て行く。
「シホがね、見つかったのよ。記憶喪失みたいでね日常生活には以上ないけどトウマのことは覚えてないみたい。ほんとは菜穂ちゃんにはあわせるべきなんだろうけどなんか複雑なのよね。」
ドアに目をやる。
幸せそうな笑顔を思い出す。
「シホが苦しんだのに反省なしのトウマもトウマよ、もう私は助けない。あんな女じゃまた捨てられるだろうけどね。」
2本目のビールをあける。
助手席の女性を思い出す。
僕には理解できないな、なんで女性に全てあげるのか。
まあ僕にはそんなお金ないけど。
アゲネエもコックリコックリねはじめるテラスの窓から朝明の青い光がさしている。
僕の携帯がなった。
「起きてたのか。ゴメンいまからそっちむかうわ。」
昴からだ完全に酔っている声だ。
「やっぱり向かえにきて俺一人じゃ無理だ。」
返事もまたずに電話をきる。
「昴から電話きたの?向かえ必要なら8時まで待てっていっといて。自由にお風呂とか使っていいからね。私は一寝入りするから。」
アゲネエが欠伸をして春樹の置きっ放しのコートを体にかけ寝てしまう。
ヤレヤレ、昴にメールだけして部屋をでる。
廊下を天井から下がった照明があわく照らしている。
僕も寝たらサチに向かいにきてもらお、トウマさんの車よりサチのケットラのほうがいいや。