第1話 はじまりの鐘
何とか書き上げました。
-魔王軍、進軍開始―
その報を受けた、マウザー王国国王、レイレナード三世は顔を顰めた。
「また、わが国民の血が流されるのか…。」
その言葉を聞いた側近は王の心痛を理解し、同じように顔を顰めた。
レイレナードは報告に来た兵に労いの言葉をかけると、すぐに立ち上がり玉座の間にいる臣下に向け、声を上げる。
「またもや魔王の軍勢が攻めて来ようとしている。もう、勇者はいない。我らの手でこの国を守るのだ!!」
その言葉を聞いた臣下たちは腹に力を入れ「応」と答えた。
それを見たレイレナードは「これなら、魔王軍を止めることができそうだな」と明るい未来を夢想した。
それが数日後、絶望に変わるとは思いもしないで。
「陛下!イングラム様の3個師団が壊滅!イングラム様も討死!」
「なんだと!?あの『鉄血』として名を馳せたあ奴がか!?」
「魔王軍の先鋒が鬼族だったようで、大した反撃もできずに壊滅した模様です。」
「鬼…だと。」
伝令の兵が伝えてきた内容にレイレナードは絶望を顔に浮かべた。
さらに魔王軍の先鋒がゴブリンなどの小鬼族ではなく、それの上位種族の鬼族であることが被害を拡大させていた。
鬼族は人間と変わりがない恰好をしているが、体は2mを超して、その力は大の男が数人がかりで落とすような岩を一人で軽々と持ち上げてしまうような強力の持ち主である。
ただ、鬼族は圧倒的に男が少なく、女性が多数を占めるため、緩やかに滅亡に向かっているのだ。
話はそれたが、鬼族と言うのはそれほどに強い相手なのである。
「他の将は、どうした?」
「ダリル様が殿となって、撤退を開始しております。」
次の報告にレイレナードは安堵する。
ほっとしたのもつかの間、次の伝令があわてて駆け込んできた。
「へ、陛下!ダリル様が討死なされました。また、撤退中のシュタイアー様以下の諸将も次々と討ち取られ、今はこの王都を囲んでおります!」
レイレナードはその報告を聞いて、玉座の背もたれに体重をかけ、天井を見上げる。
「鎧を持て、この儂、レイレナード三世自ら出陣してこの状況を打破して見せようぞ。」
「お、お待ちください!この戦力差では!」
「お前には重大な任を与える。儂の家族を逃がしてやってくれまいか。」
レイレナードは止めに入った兵に自分の家族のことを頼むと、玉座の間を出ていった。
残された兵は、近くの柱を力いっぱい殴ると王から下された名を果たすべく玉座の間を出て行った。
それから、数時間後、マウザー王国は滅亡した。
王が命をなげうって逃がそうとした家族も魔王軍に捕らえられ、魔王軍本隊が到着するまで、座敷牢に収容された。
また、マウザー王国の救援に向かっていたフランキ帝国の将、李春華の軍勢も吸血鬼の軍勢に敗れ、李春華も魔王軍に捕らえられた。
これは単なる序章にしか過ぎない。
はじまりの鐘が鳴らされただけだ。
ここから滅亡へのカウントダウンが始まる。
今回は最初に滅亡した国の話です。
次回から主人公たちが活躍します。
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