軍事訓練編 即斬即滅《そくざんそくめつ》
「がはははははっは~、俺様、さんじょ~おぅ。」
「ザブも参上~。」
決着が付いたかに思われていたゴブロブ隊との対戦であったが、部隊よりも大きく遅れてようやく指揮官が戦場へとやってきた。
「遅かったなロブのおっさん、お前たちの部隊は全滅だ。」
降参を促すライムだったが、返事は断固として拒否である。
「ぶははははっはっは~、何を言うか小僧、俺様こそが部隊の中心、その俺様を倒さねば全滅とは言えぬわ、ぐわっはっはっはっはぁ~。」
ロブ・バルバドスを強気にさせている理由は騎獣メビウスヴァイパーにある。蛇龍ヤマタノオロチ種の巨大な地蛇龍で全高約50モートル、全長約100モートルの巨体で、八つの頭部を持ち、スミレ色の体色、蛇腹には沢山の刺が生え、ウロコは鉄のように硬く、高い生命力を持ち、首を切り落としたとしても忽ち再生してしまう不死身の蛇竜、猛毒の牙を持つが大概の獲物は吐く息で毒殺させてしまう。
その怪物が2匹、悪笑隊の前に立ちはだかる。
「やれやれだな、一匹でも厄介なのに二匹相手にするのは非常に厄介だ。さて、どう料理したものか。」
顎に手を当て一応悩んだふりをしているが、お前が何とかしろとばかりに視線をオウガデスへ向けている。
「はいはい♪ライムさんのお望み通り、こんがりと焼き料理にしてまいりますよ♪」
オウガデスが一歩前に出たその時、ザブ・フリゲットの駆るメビウスヴァイパーの体が真っ二つに割られ四散分離し光の粒子となって消えた。
地蛇龍を一閃した者、それは白銀の鎧を身に纏い、銀色に輝く竜滅剣を携えた美丈夫、竜戦姫ロスマリヌスその人であった。
「ライム殿、オウガデス殿、余計な手出しをしてしまい申し訳ありません。例え雑魚であろうとも邪龍を見ては放っておけませんでした。」
竜戦姫は龍滅剣を鞘に収めると、右手を胸に当てライムたちに向け丁重にお辞儀をする。
ライムは詫びなど要らぬとばかりに手を振り、頭を上げる様に促す。
「いやいや、ロスマリヌスさんのお陰で手間が省けて助かった。あと一匹は悪笑隊で何とかするよ。」
「いえ、もう一匹も既に斬っております。」
「へっ?」
そう言われてロブの騎獣に目を向けると、メビウスヴァイパーの体からX字に剣線が走る。そして地蛇龍は断末魔の声を上げながら光粒子となり消えていった。
「いや~、手古摺らせてくれたじゃねえかロブのおっさんよ~、今度こそ降参だろ?」
ライムはエルフ兵から槍を受け取り、ロブに槍の穂先を向ける。
「こっ、降参、降参じゃ。」
「うひぃ~、降参です~。」
ザブ・フリゲット副隊長と手を取り合い震える声で敗北を告げるゴブロブ隊隊長ロブ・バルバドス。
ピンポンパンポーン♪♪
「執行部よりお報せです。先ほど悪笑隊、及び久々隊によりゴブロブ隊は壊滅いたしました。引き続き軍事訓練をお楽しみください。」
ピンポンパンポ~ン♪




