バネの脚
「バネの脚でどこまで行くの?」
少女が問い、
「僕の脚をこんな風にした奴の子を探してるの」
少年が答える。
来た道には足跡が二人分。旅の途中。
「君はどこに行くの?」
少年が問う。バネの脚を弾ませながら。
「パパを探しに行くの」
少女が答える。継ぎ接ぎの脚で歩みながら。
「君、どうして継ぎ接ぎの脚なんだい?」
「私ね、生まれた時から脚が悪くて手術したの。パパが『君の脚ではもう歩けなかったから、もらってきたんだよ』って。あなたこそどうしてバネの脚なの?」
「ちょっと前まではとても丈夫な脚だったんだよ。取られるくらいにね」
「え……」
「例えば」
少年がぶわりと少女のスカートを捲る。
「きゃっ!」
「こんな脚」
「あ……あ」
「パパのところへ連れて行ってあげるね」
帰り道。足跡は一人分。
バネの脚 完