3章、壊された神、革命する機械、機動する黒騎士、誕生する希望、盗まれた運命2
グランパニアのBSたちが怪獣と戦闘するも他の国のBSたちと争っていた
そんなことしている場合じゃないのに
戦場は三つ巴の戦いとなり泥沼化を極めた
に、逃げないとさすがにまずい
そのとき紫色の稲妻が目の前で走ると目の前に1つの画面付きの端末が落ちてくる
不思議に思いつつゆっくりとそれを拾い上げたと同時
前方に展開されていた球体場の青い隔離障壁の一つに亀裂が走る
な・・・う、うそだろ・・・ヒビ?
ピキピキ音を立てて障壁のヒビが広がっていく
隔離区画が・・・障壁が・・・割れる?
バリーン!
青い球体を突き破って姿を現したのは新たな蜘蛛型の怪獣だった
メシヤアアアアアアアアー!
大轟音でうなり声を上げる蜘蛛の怪獣
さすがの俺もこの至近距離だ。あまりの恐ろしさにヘナヘナと座り込んだ
ドオオオオオオオオン!ドオオオオオオオオン!ドオオオオオオオオン!
何かが何度も体当たりする音が聞こえる
振り返ると茶色の球体の表面が何度も波打っている
な、なに!障壁に亀裂が入ると
バリーン!
青いタコの怪獣が姿を現す
さ、3匹目だと!
そのときだった!地面に落とした端末に映像が映し出される
そこには白衣を着た30代くらいの女博士と美少年が映し出されていた
博士が言った
これが・・・革命機ゲシュタルト・・・。
博士!頼む!俺にゲシュタルトを扱いきることができるかはわからない!でも!でも俺は!守りたい!俺の仲間を!みんなを守りたい!
俺に!みんなを守らせてください!
エクセリータ・・・。
深々と頭を下げる美少年、エクセリータと呼ばれた美少年に女博士は鍵を差し出す
乗りなさい
場面が切り替わると暗黒の宇宙が映し出される。画面の真ん中には大気圏を突破して急降下する機体が小さく映し出されていた。
このまま目標地点に降下する!
映像は炎を超え、雲を超え、そして都市の中にそびえたつ蜘蛛型の怪獣を映し出した
上を見上げれば
空から逆噴射をして60mの巨大戦闘機が飛来する
んんん!
声にならない衝撃的な光景に驚くことしかできない
直角に降りてきた巨大戦闘機が直角に曲がり、水平に飛行し、都市の中を超々低空飛行で飛行する。巨大戦闘機が信号機の真下を通過する
それが俺の目の前を通り過ぎた
うわあああああああああ!
隣にあった車ごと衝撃波で押し出され
そのまま2m後の喫茶店の中までぶっ飛ばされた
背面で窓ガラスを粉々に粉砕し
ガッシャーンシャンシャンシャンシャン!
衝撃波でビルから大量のガラスの雨が降り注ぐ
う、うわあああああああああああああああああああああああああ!
思わず顔を腕でおおう
運よく建物の中にいたため助かった!
店外では大量のガラスが飛び散っている
よろめきながらなんとかカウンターにつかまり立ち上がると戦いが見たい好奇心から腰を抜かしたまま外に身を乗り出した
凄まじい火力の砲撃が開始される。
戦闘機の先端についた8門あるガトリング砲が火を噴くとビルの一階から撫で上げるように弾雨が発射され、ビルもろとも怪獣が粉々にされていく
そのまま攻撃をうけ体を砕かれながらも突進してくる怪獣のタックルが戦闘機を跳ね飛ばす
ぐあああああああああああ!
端末からパイロットの悲鳴が聞こえる
俺はいてもたってもいられずおい!大丈夫か!おい!と声をかける
お、お前は!誰だ!
がんばれ!負けるな!
は・・・へっ、言わなくても・・・やってやるよおおおおおおおおおおおお!
再びガトリングが動き
土煙はもちろん、けれん目あふれる戦場になる
突風が目の前を吹き荒れる。
うわ!
押し寄せる土煙が視界を奪う中、なんとか俺は喫茶店のパラソルを盾にして土煙を防ぐ
タッタッタッタッタッタッ!
全力で走ってきた少年がいた
こ、子供!?
お、おい!
兄ちゃん!逃げな!
俺が止めるのも無視してそれだけ言って少年は走る
少年が空に腕輪のついた手をかかげて叫んだ
リリオン!インヴァション!「襲来!」
空から巨大なロボットが雲を尾のように引いて飛来した。その衝撃で周囲の土ぼこりがすべて吹き飛ばされる
ズガーン!
大きな音を立ててそばの噴水に片足を突っ込んで着地する
うわあああああああああああ!
大量の水しぶきが飛び散ってずぶぬれになった
少年が巨大ロボットの手の平のハッチから乗り込んでいく
端末に映像が映る。感動しすぎて指が震えた。どうやらあの少年がコクピット内でいろいろなことをしているようだ
大量のスイッチを次々起動させていく手元が映像として流れていた
緑のスイッチたちが押され次々に光を灯していく
コクピット胸部まで射出、起動シークエンスに入ります
オールコンプリート!リリオン!起動!
ギュイン!
電子的な音がしてロボットの目が輝いた
これが破壊兵器リリオン・・・いくぞ!
青いタコの怪獣と戦闘を開始する
リリオンだと・・・!
俺は目の前の非科学的な武装を持つロボットを見上げた
リリオンが素手にデカいクローをはめて戦闘を開始する
端末から声が聞こえる
おい!そこのパイロット!邪魔だ!
俺がやらなきゃいけないんだ!この街を!みんなを!俺が守るんだああああああああああ!
こ、子供の声!なんでガキがこんなところに!早く逃げろ!
うるさあああああああああああああい!ゴー!リリオン!
突撃をかけるリリオン
ちっ!ポー博士!あいつのアシストに回る!
構わん!急ぎたまえ!
デュエルモードに切り替える!
ゲシュタルトがアクロバティックな動きをして戦闘機から尻尾の生えた人型兵器に空中変形した。
す、すごい!
重武装のBSだ
・90mmガトリング砲を両手に8門装備した機体だ。背中に巨大な鋼鉄のランドセルを背負っている。あそこがおそらく弾薬を貯蔵しているタンクだ
・35mm頭部バルカン砲8基
・35mm肩部バルカン砲4基
・35mm胸部バルカン砲4基
・35mm腰部バルカン砲4基
・35mm両肘バルカン砲4基
・35mm両腕バルカン砲4基
・35mm両手バルカン砲4基
・35mm両脚バルカン砲4基
・35mm両足首バルカン砲4基
目で見た限りすべて実弾兵器だ
エクセリータが気迫を込めて叫んだ声が端末から聞こえてくる
うおおおおおおおおおおおお!
そのままブースターを噴射して突進していくゲシュタルト
くう!
端末から苦しそうな声が聞こえる
エクセリータ!このゲシュタルトなら怪獣とも互角にやりあえるはずだ!危険を感じたらすぐに引くんだ!
く、博士!すごいGだ!だけどこれならやれる!普通のBSならここまでの戦いはできなかったはずだ。この最強のBSゲシュタルトさえあれば・・・
ゲシュタルトがすさまじい速度で加速して銃弾を撃ち込んでいく
すかさずリリオンのデカいクローがさく裂する
エクセリータ・・・すまない。
気にするなっての!らしくないぜ!
だが私はエクセリータ、お前にすべての責を押し付けてしまった。やはりすまない。エクセリータ、私の罪を許してくれ・・・。
いまする話か!
右にローリングする機体の真横を蜘蛛の糸が通過しビルを貫通する
例の子供!●月●日●時にF県丸腰町8-28に来てほしい。手紙に住所と地図を同封して送っても来なかったんだろ?うお!あぶねえ!
機体の頭上すれすれを怪獣の爪が通過していく
目を見張るほどのパイロット適性があっても心構えがなきゃ戦えないさ。そうだろ!いけええええええええええええ!
全弾が怪獣の腹をうがつ
ああ、その通りだ。
それに俺は任務を放棄するわけにはいかないのさ。ラフレシアのためにもセブンスと戦う
ふふ、ああ、そのための実証試験だ!ゲシュタルトの性能を怪獣相手に見極めろ!
ゲシュタルトは訓練を積んだ純粋な戦士こそが搭乗者にふさわしいことを証明してくれエクセリータ!
任せとけって!セブンスの野望は俺が止める!
通信を切るエクセリータ
さあ、地獄を始めようぜ!
は・・・・・・・・・・・?
俺は大慌てでカバンの中身を手でかき出し手紙の内容と照らし合わせる!
ペンケースがドブに落ちたとかどうでもいいほどに慌てた
●月●日●時にF県丸腰町8-28・・・完全に一致している。どうみても俺だ。そ、それじゃあ、たくしたいものって・・・
俺は見た。その大いなる機体の姿を
あれが、あれが俺のものになるはずだったBSの常識を超越した。最強のBS!
ほしくてたまらなくなる。口の端から一筋のよだれが出た
そしてそれを手にいれる機会を逃したことで俺はきっと・・・一生忘れないほどの後悔にさいなまれるだろう。
手紙の内容がすべて真実ならあこがれていた巨大ロボットをまさか身内がこんな形で作り出すだなんて
ゲシュタルトから全弾が容赦なく発射されていく
オレンジ色の炎が怪獣を包み込んだ
黒煙で何も見えないが手は止まらない執拗に射撃が行われる
端末からエクセリータの声が聞こえる
銃身が焼き切れてもいい。これ以上は進ませないぜ!
銃口からすさまじい火が噴き出した。
銃撃が終わると蜘蛛型怪獣は体を半壊させながらも再び増殖を開始していた
端末からエクセリータの声が叫ばれた。
まだまだまだあああああああああ!
再び銃撃が始まる
すごい戦い方だ。あれが兵器の火力か?
閃光に次ぐ閃光が蜘蛛型怪獣に襲い掛かる
カチカチ、ちっ!弾切れか!作戦行動時間をオーバー、離脱・・・できるかよ!
そのまま首を絞めあげられているリリオンを助けに行くゲシュタルト
尻尾がビームソードになって怪獣を切り飛ばす
わずかにリリオンの拘束が解け倒れこむリリオン
少年の叫びが端末から聞こえた
俺は・・・勝つ!
伝説の武器をくらええええええええええええ!リリオンハンド!
名前を叫ぶとリリオンの腰のメカ手袋が大量の磁力を発生して空を飛んでいく。そして手にはまった
うなれ!ストロングアームアースクラッシャー!
剛力の大地の破壊がさく裂した
す、すごい!
殴られただけで異次元的な角度に歪み一瞬でズタボロになった青いタコの怪獣。ゆっくりと再生を始めるが一時的に活動を停止させられたはずだ
ぐうう・・・
相打つ形で力尽き倒れるリリオンを持ち上げるとそのまま上空に飛び上がりゲシュタルトが戦闘機に変形しどこか空の彼方へと行ってしまった
端末から二人の声が聞こえる
おい!おい!坊主!おい!
ぐー。ぐー。
寝てる?はあ~・・・へへ、この年齢で街を守るために戦うなんて大したたまだぜ!
その場に残されたのはいまだズタボロになった怪獣と重火力で細切れになった怪獣だった。二体ともゆっくりと再生を開始しようとしていたがこれでしばらくは動けないはずだ
す、すごすぎる・・・
後悔、感動、歓喜、いろいろありすぎて少し疲れた
るーるーるー
歌?
ああ、そうか、歌を追いかけていたんだ。もうどうでもいいや。俺は歌を無視して帰ることにした
そのとき緑の球体に亀裂が走った
障壁が・・・割れる?
バリーン!
アッホ!そんなバカなあ!
障壁を破って現れたのは歩くワカメの怪獣だった。海草なのに筋線維が見える。まるで海草の塗装をほどこした肉だ。
逃げても逃げきれない。見つかれば殺される!
るーるーるー
とっさに歌のほうに逃げることにする。建物に隠れればやりすごせるかもしれない
建物のトイレに入る。
るーるーるー
歌、まだ聞こえる
屋上に上がる
るーるーるー
この声は・・・歌の主の声だった。
見るとそこには幻想的な美しさを持つ美少女がいた
そしてその少女が座るのは黄金の輝きを放つ天使のような巨大ロボットだった。
片膝を地面に付きまるで主の搭乗を従順に待つかのようにコクピットを開いていた
るーるーる・・・久しぶりだね。
寂しそうな顔で少女はこちらを振り向いた
少女の20cm隣に怪獣の足が激突して周囲に岩石弾が飛び散ったが少女は無傷だった
な、なぜだ?いや、それよりき、君は・・・誰だ?
忘れちゃったかな?ずっと好きだったのに
記憶にまったくない美少女が蠱惑的な言葉をくれる
その顔の造形、立ち居振る舞い、ほんのりとした気品が見えて、美しく上品でそれでいて現実味とは程遠い。たとえようもない美しさを持っている美少女
まるで幻が話かけてくるかのようだった
あなたは選ばれた戦士、
光に選ばれた救世主
あなたが世界を救うのです
すべてはあなたがカギとなるのです。
あなただけが世界を救えるのです。
愛しています。ずっと、ずっと
でも・・・最後のときは・・・泣かないでね?・・・きっと・・・大丈夫だから・・・ずっとそばにいるから
美少女は振り返ると泣きながら優しく微笑む
大丈夫って・・・?最後のときって?
意味深な発言を繰り返したかと思うと美少女は姿を霧のようにして消えていった
え?
消えてしまった少女を探すが何も見つからない
ゾワリと寒気がした
こわっ・・・
その場には俺と黄金の巨大ロボットのみが残った
音がしなくなった
まるで時が止まっているかのようだ
な、なんか知らないけど、そ、そうか・・・まいったな・・・そういうことね。あーあるよね、あるあるあるある。よくある。よくある!
どうやら俺は知らない間にすごい宿命を持つ人間になっていたようだ。前世か、あるいは未来か、そういうことなんだろ?わかるわかる。
それが何なのかはまるでわからないがいまのでわかった
俺は選ばれたのだ何かに、しいて言えば彼女に、まったく前途多難だが・・・世界のためにだなんて柄じゃないのはわかってる。
でもな・・・やってやろうじゃないか!
拳を握りしめて空高く突き上げた。この拳は世界を守る。正義の決意だ!この拳に俺は誓う世界を守ることを!
それじゃあ!いくぞ!黄金のコクピットに乗り込もうとしたそのときだった!
邪魔!
パン!パン!
ああああああーあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
撃たれた
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!足があああああああああああああああああああああああ!
足を抑えて激痛に耐える
コンマ一秒のできごとに感じられた
痛みに身もだえる視界の隅に移ったのは
乗り込む謎の女の子
閉じるハッチ
起動するメカ
フォンフォン言ってる!フォンフォン言ってる!
フォンフォンエンジン音を響かせて起動させると黄金のロボットが起動、ビルから飛び降り大地に立ち上がった
あはははははははははははははは!
ついに!ついに手に入れたわ!これが光の!地球の守護神!それが私のものに!
あはははははははははははははははははははははは!
あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!
爆笑しながら歩いていく巨大ロボットの背中を俺は見つめ続けていた
え、えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!あああああああああああああああああああああああああああああ!
俺の機体が・・・選ばれし戦士が・・・
吐き気がする。頭が痛い。思わず頭を抱えた
俺、何か悪いことしたのかな?俺なんでこんなひどい目に会うのかな?絶望してる?これが絶望なのか?
我を忘れるほどの悔しさに脂汗を流しながら苦悩していると
黄金の巨大ロボットと対峙するのワカメの怪獣が目に映った
・・・ばれ、・・・ばれ・・・あははははははははははははははははは!がんばれえええええええええええええええ!ワカメええええええええええええええええええ!
だってしょうがないじゃないか!最高のシュチュエーションで最悪なタイミングでこんな、ひどすぎる!
ひどすぎるよ。現実なんて!ああああああああああああああああああああああああああああ!
うう、うううううう・・・
俺は泣き崩れた。ボロボロと地面に手をついて涙を流していると端末から声が聞こえた
やあ
うう・・・うう、あ、あなたは・・・?
名乗る者のほどじゃないさ。
しばらく長い沈黙が流れて俺は少し落ち着きを取り戻す
考えてみればこの端末がなければ俺はやられていたかもしれない。
ここまで助けてくれたのがこの人ならお礼を言わないと、そう思った
ところで君は巨大ロボットアニメが好きなんだってね?
唐突にそんなことを言われる。不思議に思い言葉に詰まる
は・・・はい・・・。
君あれが現実のできごとじゃないとでも思ってた?
へ・・・?
端末に映し出されたのは劇中の映像を完全、実写化されたアニメの映像だった。大好きな巨大ロボットまで映し出されている
いままで歴史の陰ではすべて起きたできごとだったんだ。それを書き起こして映像化したのがアニメなのさ
そこにはまぎれもない現実の戦争が広がっていた。
カメラのバッテリー表示、撮影時刻、日付、頬に小さく切り傷のあるレポーター。傷ついた兵士たち、内部構造を露見したロボットの亡骸
俺が大好きだった作品の巨大ロボットたちが本物の戦争をしていた
こ、こんなの合成だ!
そう思うのは自由だけど脅威は着実に近づいてきている。きみが今日目にした非現実的な生物や兵器たちがそれを証明しているはずだ。
そ、そんな・・・。
そうかもしれなかった。
ここまで俺は実際に怪獣たちに追われ、ありえない兵器たちに振り回されてきた。合成で済ませるにはあまりにも無理がある。
まさか本当に戦争アニメは実際の戦争を描いたものなのか?
ここまで来て。あの奪われた黄金のロボットのこともそうだ。俺は運命に選ばれていたかもしれない。もしあのまま乗っていたら・・・俺は・・・
16歳のある日、俺は巨大ロボットアニメのストーリーこそが正史の現実だと知った。




