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はじめての戦い

村のうわさは日に日に大きくなっていった。

だから私は、もっと遠くへ足を運ぶことにした。

誰も来ない、山奥の渓谷。

ここなら安全に試せるはず。


「よし……今日は水からやってみよう。」


両手を組み、水の流れに意識を集中する。

すると小川の流れが逆らうように舞い上がり、蛇のようにくねりながら宙に浮かぶ。

「やった……!」


次は地面に意識を落とす。

足元が震え、小石が跳ねる。

「これなら……村を壊さずに練習できる。」


胸を弾ませながら夢中になっていた、その時だった。


――ガサガサッ。


茂みが揺れ、低い唸り声が響く。

現れたのは巨大な熊だった。

黒々とした毛並み、血走った目。

「ひっ……!」


熊は一直線に突進してくる。

私は慌てて手を突き出した。

――バリッ!

雷光が走り、熊の足元を焼いた。


「やった……!?」


けれど、効いていない。

熊は怒り狂い、さらに速度を上げて突進してきた。


「ちょ、ちょっと待って!」

叫んでも意味はない。


必死に水を操ろうとするが、勢いが強すぎて制御できない。

宙に浮いた水が自分の顔にぶつかり、ずぶ濡れになるだけだった。


「うわぁっ!?」


熊の爪が迫る。

とっさに地面を叩くと――岩がせり上がり、即席の壁となって爪を受け止めた。

衝撃で倒れ込み、体中に土がまとわりつく。


「はぁ……はぁ……!」


熊はなおも睨みつけていた。

だが次の瞬間、背後の崖から崩れた石が落ち、熊は驚いて逃げ出していった。


残された私は泥だらけで立ち上がる。

息は荒く、体は震えている。

「……ぜんぜん、上手く使えない。」


けれど、胸の奥に小さな確信が芽生えていた。

――これが私の力なんだ。

まだ未熟でも、きっと使いこなせる日が来る。


私は拳を握りしめ、山を見上げた。

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