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村のうわさ

市場の日。

私はかごを抱えて野菜を並べていた。

――そう、できるだけ普通に。


「リアナ!」

声をかけてきたのは幼なじみのカイルだった。

小麦色の髪を揺らし、にやりと笑う。

「お前さ、最近ちょっと元気すぎない? 顔が赤いぞ。恋でもしてるのか?」


「こ、こい!? ちがうよ!」

思わず声を張り上げ、隣のおばさんに変な目で見られてしまった。


カイルは首をかしげながらパンをかじる。

「だってよ、この前も妙に疲れてただろ。なんか秘密の特訓でもしてんじゃねえの?」


ドキッ。

心臓が止まった気がした。


……その時、通りすがりの老人が言った。

「なあ聞いたか? 森の奥から、夜な夜な雷みたいな音が聞こえるんだと。」


別のおばさんも身を乗り出す。

「私も! 地面が揺れた気がしたわ!」


ざわざわと広がるうわさ。

私は必死に平静を装いながら、カイルの肩をつついた。


「か、雷なんて……気のせいじゃない? きっと獣が暴れてるとか!」

「獣が地震を起こすかよ!」

カイルは大笑い。


私はさらに声をひそめる。

「じゃあ……きっと神様がおならしたんだよ!」

「ブッ……はははっ! お前、なにそれ!」


カイルが大声で笑い出したおかげで、周りの空気は一気に和らいだ。

私は胸を撫で下ろし、心の中で小さくつぶやいた。


(……危なかった。本当に、絶対バレちゃだめ。)


けれど笑いながらも、カイルはじっと私を見ていた。

「でもさ、リアナ。変なことしてないよな?」


その目を直視できず、私はごまかすように野菜を並べ直した。

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