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知らぬ間に
目を覚ましたのは、翌朝だった。
自分の部屋の天井を見上げながら、胸の奥にまだ熱が残っているのを感じた。
夢……じゃなかった。
手を握ると、指先から小さな火花が散った。
「ひっ……!」
慌てて隠したけど、もう遅い。
階段の下から母の声がした。
「リアナ? 何か音がしなかった?」
「な、なんでもないよ!」
声が震える。
昨日の光、あの六つの声……全部、本当だったんだ。
――ガタンッ。
うっかり触れた木の椅子が、雷に打たれたみたいに焦げ目を残した。
焦げ臭い匂いが部屋に広がり、心臓が跳ねる。
父が顔を出した。
「おい、リアナ……? その手……」
私の指先には、まだ青白い稲妻が残っていた。
母と父は顔を見合わせ、言葉を失ったように黙り込む。
やがて母が震える声でつぶやいた。
「……儀式の娘、なの?」
その一言が、私の世界を揺さぶった。
知らぬ間に宿った力は、もう隠しきれない。
――運命は、動き始めていた。
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