表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/67

5-10(帰省).

 その日、レヴィアがサブマスターに与えられた豪華な部屋に入ると机の上に小包が置かれていた。よく見るとこのクランの名前とクランマスター様へと宛名が書かれた紙が貼られている。レヴィアはクランマスターではなくサブマスターだ。この世界でも前世でもマスターと呼ばれていいのは一人だけだ。ただ、前世と同じようにマスターは滅多に姿を現さない。そのため、このクランでは普段はサブマスターのレヴィアがマスターの代行を務めている。なので、マスター宛ての物であってもこうしてレヴィアのところに届けられる。


 レヴィアは何か怪しいと思ったが、この世界には時限爆弾や開けると毒がまき散らされるような魔道具等はない。まあ、危険なものではないだろう。


 レヴィアは怪しみながらも包みを開ける。中から出てきたのはマントだ。


 迷宮の…アイテムなのか…。


 『迷宮物語』でアクセサリーと呼ばれていた迷宮産のアイテムには指輪型や腕輪型以外にマント型もある。


 レヴィアはマントを手に取る。なんとレア級だ。かなり貴重なものだ。よく観察すると裏にクランのマークが入っている。獅子のマークだ。


 うちのじゃないか…。


 レア級のマントを装備しているとなるとこれは幹部のものだ。レヴィアはその幹部に思い当たる者がいる。最近、行方不明になった3人のうちの一人だ。


「なぜ、こんなものが…?」


 レヴィアは思わず疑問を口に出していた。


 これは…。


 レヴィアは包みの中に封筒が残っていることに気がついた。レヴィアは逸る心のままに乱暴に封を切って中に入っていた紙片を取り出し書かれている文章を読んだ。




 ♢♢♢♢♢♢♢ 3人の雑魚は始末した。今度カイル探索者養成学園の生徒に手を出したらお前達は皆殺しだ。コレオグラファー ♢♢♢♢♢♢




 脅しだった…。レヴィアの手は震えている。


 コレオグラファーの名前はレヴィアにとってトラウマのようなものだ。レヴィアには自身の手の震えが恐怖によるものか、それとも怒りによるものなのか判断できなかった。


 いずれにしても、ベルゼフ達やマスターに相談する必要がある。コレオグラファーが絡んでいる以上そうする必要がある。それまではカイル探索者養成学園の生徒に手を出すのは中止だ…。


 コレオグラファー、ついに動き出したのか……。





★★★





「『ガード』!」


 サラマンダーの飛び掛かり攻撃を予想していた俺は素早くアディとサラマンダーの間に滑り込み『ガード』で防御すると同時にシールドバッシュもどきでサラマンダーを弾き飛ばした。


「ぎゃうぅぅーー!!」


 気持ちの悪い声を上げたサラマンダーが腹を見せて暴れている。


「『炎槍』!」


 アディが『炎槍』でサラマンダーを攻撃する。サラマンダーは岩蜥蜴と同じで腹が弱点だ。


 バシュ!


 最後はシグルド様がサラマンダーを剣で一閃した。


「お前達がここまでやるとはな」


 シグルド様が俺とアディを見て言った。ここはネイハム迷宮の10階層だ。もちろん、アディ以外が帰還の腕輪を持っていない状態でボスのガーゴイルには挑まない。回復役もいない。


「いえ、シグルド様のおかげです」


 シグルド様は真面目な表情で頷いた。


「レオ、レベルが上がったわ」


 ということは、レベル19だ。レベル21になれば上級職になれる。このまま、いけばアディは上級魔法使いになる。


 2年生になるのを目前に控えたアディと俺はアルメッサー辺境伯領の領都アルヘイムに帰省している。アルスとサラは今頃フィッシャー家の領地にいるはずだ。ステラ達はどうしてるだろう? もしかしたらデラメアとモーズリーは…。

 この世界では日本と同じように新学期は4月に始まり今は春休みというわけだ。春休みは結構長い。帰省した俺とアディはシグルド様と3人でアルメッサー辺境伯領にある唯一の迷宮であるネイハム迷宮に挑んでいるというわけだ。結局帰省しても迷宮でレベル上げに励んでいるんだから王都にいる時とあまり変わりがない。でもこうやってアディと迷宮に潜ることができるのも、あのイベントを乗り切れたおかげだ。未だにアディの笑顔を見るとほっとする。


 俺のレベルは45のままだが、盾はガーゴイルの盾に変わっている。サイモン様から頂いたものだ。学園でのことをアディがサイモン様にいろいろ伝えてくれたようで、サイモン様がアディを守った褒美だと言ってガーゴイルの盾をくれた。


 俺がサイモン様からガーゴイルの盾を授けれらた時、アディは「お父様がレオを認めてくれたってことね」と少し顔を赤らめながらうれしそうに言っていた。ガーゴイルはネイハム迷宮10階層のボスだ。もらった盾はレア級で、一つとはいえ、なかなか有益な状態異常時間延長+10%の補助効果が付いている。



【レオニード・メナシス 16才】


 <レベル>    45

 <職業>     最上級重剣士3

 <スキル>    スラッシュ、二段斬り、ダッシュ、回避、回転斬り、集中(B+2)、雷剣、死線、ガード、挑発

 <魔法スキル>  雷弾、天雷

 <称号>     雷神の守護者

 <武器>     魔剣ソウルイーター(伝説級、特殊効果:HP吸収、補助効果:攻撃速度+5%、攻撃速度+3%)

          ガーゴイルの盾(レア級、補助効果:状態異常時間+10%)

 <装備アイテム> 力の指輪(一般級)、知恵の指輪(一般級)



 状態異常時間+10%により硬直や移動不可などの状態異常の効果時間が延びる。10%の違いで、あと一つコンボが繋がったりするので馬鹿にできない効果だ。ただし、効果があるのはあくまで盾を使ったスキルに対してだけだ。今のところ『挑発』の移動不可のデバフに対してだけ効果がある。


「レオニードのレベルは相当高そうだな」


 シグルド様はそう言って探るように俺を見た。


「ええ…」


 シグルド様は父さんが亡くなった後、俺に稽古をつけてくれた恩人だ。正直にレベルを伝えるべきだろうか?


「レオニード、何か秘密があるんだろう? 言わなくてもいい」


 シグルド様…。やっぱりシグルド様の目はごまかせない。


 今の俺のレベルはシグルド様より上だ。だがこの世界における実際に身体を使う剣技という意味ではまだまだシグルド様に教わることは多い。『迷宮物語』でPSプレイヤースキルと呼ばれていたものと同じくステータスやレベルだけではない技術がこの世界にもある。だからこそ俺はここまで生き延びてこれたのだ。何度も危ない場面があった。


「シグルド様、すみません」

「だから、いいんだ。レベルやスキルは簡単に人に教えるもんじゃない」


 俺はアディ、アルス、サラ、シルヴィーには俺のレベルを告げている。アディは俺とシルヴィーに何か秘密があることにも気がついていると思う。そのアディにも『迷宮物語』やかつての『TROF』の仲間達のことは話してない。俺達のことに巻き込みたくないという気持ちもある。ただ、あいつらの出方によっては否応無しに巻き込まれてしまうかもしれない…。


 インプレサリオ達はダゴン迷宮を使ってレベルを上げているらしい。それでも黒獅子王を単独で倒した俺のほうがレベルは上だと思う。インプレサリオは最初から貴族だったわけではない。ダゴン迷宮を使ったとしても、あいつらのレベルが俺より高いとは思えない。そして、あいつらはそれを知らない。だが、それをいつまで保てるかはわからない。なんせあいつらは通常の2倍の経験値が手に入るダゴン迷宮を確保している。だが、あいつらもこの世界でのレベル上げの困難さを感じているのではないだろうか? 俺とシルヴィーが経験したように…。


 あとは…。


 レベル79のヴィルトゥオーゾが今何をしてるのかが全く不明だ…。あいつはレベル79の上、身に着けている武器やアイテムは伝説級を上回る神話級のものばかりだ。


「さて、今日はそろそろ引き上げるか。アデレード様のレベルも上がったしな。迷宮で無理は禁物だ」


 俺とアディはシグルド様の言葉に「はい」と頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
敵対ルート!(まあまだ不倶戴天レベルではないですけど) と言いますかほぼ確定でコレオグラファーが転生してて、どういう考えで動いているか分かっていない状況でゲーム主人公(誤解あり)に手を出すのは悪手じゃ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ