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4-5(ゲームとの違い2).

 本来、今日はこのことを相談しようと思っていた。その前にマエストロが学園での出来事を報告したのでそっちが先になってしまったのだ。


「うん。ダゴン迷宮を使ってのレベル上げなんだけど、誰でもどんどんレベルが上がるわけじゃないみたいなんだ」

「それって…」

「ああ、プリマドンナ、ちょっと計画通りにはいかない部分が出てきた」

「どういうことっスか?」


 マエストロはピンと来ていないみたいだ。僕は頭の中を少し整理してから話し始めた。


「この世界の人はレベルアップできる速度に違いがある。それにレベルアップできる上限みたいなのがあってそれ以上レベルアップできない可能性が高い」

「なるほどっス。この世界では誰でもがいくらでもレベルを上げられるわけじゃない…そう言うことっスね」

「うん、これを才能の違いと呼んでもいいだろうね。『迷宮物語』のストーリーに登場する人物はカイル探索者養成学園に入学できている時点で才能があるんだ」


 そう、この世界にも才能による違いがある。


「そういうことなのね」

「考えて見えれば当たり前のような気がするっスね」


 マエストロの言う通りだ。誰もが主人公のようにレベルアップできるわけじゃない。これは当たり前のことだ。今頃こんなことに気がつくなんて…。主人公には才能がある。しかも『光の守護者』なんてチートな称号を持っている。


「それで、インプレサリオ、才能の違いってどの程度なの?」

「まだ、はっきりしたことは分からない。だけど…」


 プリマドンナとマエストロは僕の次の言葉を待っている。


「ラングレー達にはある程度才能がある。だけど、そのラングレー達でさえレベル30に近づいた辺りで成長が鈍化してきている。彼らの場合年齢も関係しているかもしれない」

「だけど、他の者はもっと低いんだ。中には10も行かないだろうと思われる者もいる。たぶん、10でもましなんだ。僕は優秀な者を選んでレベル上げをしているんだからね。まだサンプルが少ないから断言できないけど、この世界のほとんど者はレベル5になるのも難しいんだと思う」

「そんなに差が…」

「探索者や騎士なれるのは戦闘系の職を得たものだけだ。そしてその中でも才能には大きな差がある。そもそもゲームに登場するカイル探索者養成学園の生徒は才能があるんだ。そして才能ある者には貴族が多い。それに…」

「その生徒達にも才能に大きな差があるでしょうね」

「うん。たぶんゲーム上の設定があるはずだ」

「なるほどね。キャラクターによって成長できる上限の設定がある…か。まあ、ゲームならそんな設定があってもおかしくないわよね。でも、私はただの平民だけど、今のところ順調にレベルアップしてるけど…」

「それには仮説がある」


 プリマドンナは頷くと「なんとなく私にもわかるわ」と言った。


「どういう意味っスか?」


 マエストロが尋ねた。


 僕はマエストロの方を向くと「たぶん、僕たちが『迷宮物語』の記憶を持っているからだ。もっと言えば元プレイヤーだからだよ」と言った。


 そう、ゲームでの主人公とはプレイヤーの分身だ。MMORPGにおいてはプレイヤーの数だけ主人公がいる。


「そうか…」

「ねえ、インプレサリオ、もしそうなら私達以外でカンストまでレベルを上げられるのはこの世界の主人公とあとはラスボスだったグレアムだけってことかしら」


 グレアムは自分の名が出たことでちょっと目を見開いた。でも、口は出さない。


「少なくともその二人は間違いない。ただ、他にもいるかもしれないよ。なんせ運営の設定次第だからね。それとレベルキャップ解放前のラスボスだったジギルバルトは少なくとも59にはなれるはずだ」


 レベルキャップ解放前のストーリーでのラスボスはジギルバルト団長だ。この国が二つの陣営に分かれての戦乱の時代になるに当たって、最後に主人公に立ちはだかるのはジギルバルト王国騎士団長だ。トガムゼの呪いとか、王妃が幼い頃からのジギルバルトの想い人だとか、いくつか理由がある。まあ、ご都合主義といってもいいかもしれない。だけど、そのジギルバルト団長でさえまだレベル50にもなっていない。


「というわけで全員レベル59なんていう従者団や騎士団を作るっていうのは無理だ」

「計画通りにはいかないってことね」

「だけど、悪いことばかりじゃない。僕達以外にそこまでレベルを上げらる者が限られてるってことは、僕達の優位性が高まるってことでもある。とりあえずは、才能のある者を厳選してレベルの高い従者団を作り上げようと思う」


 ダゴン迷宮使って、かつ才能のある者を厳選しても、平均してレベル30くらいの集団を作るくらいが限界だろう。だが、それで十分だ。レベル30といえば王国騎士団でも中隊長を超え大隊長に迫るレベルだ。そんな集団がいれば…。


「それに、私たち自身のレベル上げも思った以上に難しいわね」


 プリマドンナの言葉に僕とマエストロは大きく頷いた。まさに実感としてそう感じている。


 僕たちはグレアムも入れて4人でダゴン迷宮を攻略している。10階層を越えてからは毒などの状態異常を使う魔物も増えてきた。僕は『浄化』や『解毒』を持っている。だけど、狙ったタイミングでそれを使うのは思った以上に難しい。それは攻撃面でも同じだ。知識があるからといって、すぐにできるわけではない。


「15階層のボスは大変そうっスよね」


 僕達は全員レベル30を越えているが15階層はまだクリアしていない。そもそもここまで来ると15階層をクリアしないとレベルを上げるのが難しい。そして、『迷宮物語』の時でもそうだったのだが、15階層のボスからグッと難易度が上がり初見でのクリアは難しくなる。


「ちょっと思ったんだけど、この世界でも15階層までは攻略されているのよね」

「そうだね。現在知られている15階層まである迷宮は王都にあるザルバ大迷宮を除くと、アマデウス侯爵領にあるヒューロン迷宮、シュタイン侯爵領のバセスカ迷宮、アルメッサー辺境伯領のネイハム迷宮、それに王家が管理しているベングラウ迷宮の4つだ。いずれも15階層のボスは攻略されている」


 これは間違いない。


「でも、この世界だと、15階層のボスを攻略しようと思ったらレベル35以上は欲しいわよね」

「死にたくないっスからね」

「なのに、レベル30を越えてくると、逆にに15階層ボスをクリアしないとレベルが上がりずらいわ」

「堂々巡りっスよね」

「最初は、この世界の人達がゲームの時よりレベルが低いことを、正直馬鹿にしてたけど、間違っていたのは私たちみたいね」


 認めたくはないが、プリマドンナの言う通りだ。


 それに口には出さないが、武器を扱う技術とかはこの世界の人のほうが僕達より優れていることも多い。よく考えてみれば、前世でも僕達はゲームおたくではあったが、別に武術家だったわけじゃない。この世界に転生してからは、10才で職を得てから父に頼み込んでヒューロン迷宮でのパワーレベリングを始めたが、あくまでパワーレベリングだ。マエストロも大して変わらないだろう。平民に生まれたプリマドンナにいたっては僕に出会ってから迷宮でのレベル上げを始めたのだ。3人とも特別に剣や槍の修行をしたわけではない。


 まあ、レベルを上げればステータスが上がり身体能力だって上がる。これは絶対に越えられない壁だ。限界までレベルを上げることができる僕達の優位性に変わりはないと思うが…。


「今、金の力を使って帰還の腕輪を手に入れるべく動いている」

「『迷宮物語』にはなかったアイテムっスね」

「おそらく、死んだら終わりのこの世界でゲームとの整合性を取るために存在しているアイテムなんだと思う。なんとか4つ揃えて、その上で15階層ボスに挑戦しようと思う」

「それが安全でしょうね」

「まあ、それまではレベル上げだ。帰還の腕輪はそう何個も揃えられるもんじゃない。1回でクリアするに越したことはないよ」


 プリマドンが何か考え込んでいる…。


「どうしたんっスか?」

「私は平民だから詳しくないんだけど、この世界でも数は少ないけど騎士や探索者でレベル35を越えてる人はいるわよね?」

「そうっスね」


 プリマドンナは何が言いたいのだろうか?


「でも、レベルを35以上に上げようとしたら15階層のボスをクリアしないと難しい気がするの。そして、現に15階層はクリアされている。一体どうやって…?」

「そういえば、王家は帰還の腕輪を大量に確保してるって噂があるっス」


 そんな噂が…。この中で最初から貴族に生まれたのはマエストロだけだ。


「だけど、あれは…?」

「ええ、本当に極稀にしかドロップしないって話です。でも王家はその帰還の腕輪を大量に持ってるって…。まあ、噂っスけどね」


 確かにそうでなければ各地の15階層のボスがクリアできているのはおかしい気がする。失敗したら優秀な騎士を一度に4人失ってしまうのだ。しかも『迷宮物語』でも15階層のボスからは難易度が急速に上がって何度も失敗してからクリアするのは普通だった。


「王家、いや4大貴族もいろいろ迷宮のことを隠している可能性が高そうですね」

「スキルや職のこともね」

「そういえば、15階層からはギミックとかの攻略情報も知られてないっスね」


 僕の隣でどこまでわかっているのかグレアムも頷いている。


 4人での話し合いが終わった後、僕はラングレーとアランに、現在のレベルが高い者よりも年齢の割にレベルの高い者を優先して従者団に加えるように指示した。あとは平民である程度のレベルがある者だ。平民は貴族と違って早くから迷宮に潜ることはできない。にもかかわらずある程度レベル高いということは才能がある証拠だ。とにかく才能のある者を集めることが大切だ。


 強力な従者団を作り上げて来るべく戦乱の時代に僕達が覇権を握る。そう『迷宮物語』でクラン『TROF』が成し遂げたようにだ。

 ここまで読んで頂きありがとうございます。これで第4章は終わりです。明日からレオニード視点の第5章に入ります。


 もし本作に少しでも興味を持って頂けたらブックマークと『★★★★★』での評価をお願いします。また、忌憚のないご意見や感想をお待ちしています。読者の反応が一番の励みです。


 拙作「ありふれたクラス転移~幼馴染と一緒にクラス転移に巻き込まれた僕は、王国、魔族、帝国など様々な陣営の思惑に翻弄される…謎解き要素多めの僕と仲間たちの成長物語」と「乙女ゲームの断罪の場に転生した俺は悪役令嬢に一目惚れしたので、シナリオをぶち壊してみました!【連載版】」も読んで頂けると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
悪人ではないと思うけど覇権、覇権って具体的にどーいう状態を思い描いているんでしょうね。
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