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1-11(上級職).

 俺はゴレイア迷宮10階層の御遣様を討伐したことによりレベル25になった。まあ、討伐したというより見つけたときには死にかけていたんだが…。とにかく、これにより上級職が解放されているはずである。


 職業レベルは10が最高だが、その上に上級職というものが存在していおり、レベル21になると開放される。そしてさらに41レベルで開放される最上級職がある。この世界で現在最上級職を得ているのは王国騎士団長ジギルバルトを含む数人だけのはずだ。ジギルバルト団長は最上級職の最上級剣士だ。それにザルバ大迷宮18階層で御遣様を倒したことで炎属性の最上級魔法スキルを得たとの噂だ。俺の『天雷』と同レベルの魔法スキルってことだ。もちろん御遣様はジギルバルト団長一人ではなく騎士団のメンバーで組んだパーティーで倒したはずだ。しかし御遣様を倒した場合スキルを得られるのは止めを刺した者だけだ。


 『迷宮物語』のリリース当初のカンストレベルは59だ。これは最上級職のレベル10に相当する。その後アプデによりレベルキャップが解放されレベル61でなれる伝説職なるものが追加され、最終的なカンストレベルは伝説職がレベル10になる79になった。ジギルバルト騎士団長のレベルは公表されていないが、45くらいだとの噂だ。ジギルバルト団長と一緒に御遣様を倒したパーティーメンバーも既にレベル41を超え最上級職についている可能性がある。だが、その4人をもってしてもサルバ大迷宮は現在19階層までしか攻略されていない。20階層のボスは倒されていないのだ。

 ちなみにザルバ大迷宮は25階層まである。レベルキャップ解放後なら35階層だ。20階層のボス攻略適正レベルは40前後だからジギルバルト団長のパーティーなら20階層をクリアできてもおかしくない。だが、実際には簡単ではない。この世界は現実世界であり失敗すれば死が待っているのだ…。

 

 考えが逸れた。そんなことより、今俺がどうすべきなのかだ。


 『迷宮物語』ではレベルと職業レベルを上げるための経験値は共通だ。レベルが2上がるごとに職業レベルは1上がる。レベル19で職業レベルは10となりカンストする。そしてレベル21で上級職が開放され上級職のレベル1になる仕組みだ。ということはレベル25になった俺は上級職のレベル3まで上げられるはずだ。俺は脳内のステータスを確認する。




 【転職可能・・・上級剣士、上級重剣士、魔剣士】




 ん? 剣士の上級職である上級剣士と盾を装備できる上級重剣士のほかに魔剣士が表示されている。普通は上級剣士と上級重剣士しか表示されないはずだが…。


 そうか…『天雷』のおかげか。


 上級職の魔剣士が解放される条件は、剣士をカンストした状態で上級以上の魔法スキルを持っていることだ。『天雷』は上級どころか最上級魔法スキルである。


 もしかしたら…これならいけるかもしれない。俺は転職先として魔剣士を選択した。


 何度死んでもやり直すことができ、欲しいスキルが手に入るまで何度でも迷宮にチャレンジできる『迷宮物語』の世界では厨二病的名前が人気の魔剣士は結構いた。


 しかし現実であるこの世界では…。


 俺と同じように御遣様からスキルを得るにしても、御遣様に遭遇する確率が極めて低い上に、深い階層にいる御遣様ほどより高位のスキルを授けてくれる傾向があるのだから、下級職の剣士で上級以上の魔法スキルを得るのは現実世界では限りなくは不可能に近い。もしかしたら俺はこの世界で初めての魔剣士になったのかもしれない。




【レオニード・メナシス 14才】


 <レベル>   25

 <職業>    魔剣士3

 <スキル>   スラッシュ、二段斬り、ダッシュ、回避、集中、雷剣

 <魔法スキル> 雷弾、天雷




 魔剣士は剣に魔法を付与して戦うのが基本の職業だ。魔剣士になったことにより自動的に『雷剣』を覚えている。剣に雷属性を付与するスキルだ。『炎剣』や『氷剣』でなかったのは俺が覚えている最上位魔法スキルが雷系の『天雷』だからだ。


 だが俺の目的は『雷剣』ではない。


 魔剣士はレベル3になっているのだから、もう一つスキルを覚えられるはずだ。俺は頭の中のウィンドウを確認する。予想通り獲得可能なスキルが表示されている。


 『ウィンドスラッシュ(雷)』、『回転斬り』、『稲妻』、『死線』、『MP回復』、『集中強化』の6つだ。


 間違いない。俺は何度もウィンドウを見直した。『死線』がある。俺は賭けに勝ったようだ。格上に挑むのに最も適したスキルだ。


 『ウィンドスラッシュ(雷)』は雷属性の斬撃を飛ばすスキルで『稲妻』は『天雷』の下位に相当する魔法スキルだ。『天雷』と『雷弾』を持っている俺にはいずれも必要ない。『回転斬り』は剣士でも覚えらる物理攻撃スキルだ。発動までの隙の大きいスキルだが威力は高いし複数の敵に攻撃できる。『MP回復』はHPを消費してMPを回復するスキルだ。魔法の専門職に比べるとMPが少ない魔剣士にはあって困らないスキルだ。『集中強化』は魅力的だ。『死線』が表示されていなければ間違いなくこれを選んでいただろう。


 俺は迷わずに『死線』を選択して、改めてステータスを確認する。




【レオニード・メナシス 14才】

 

 <レベル>   25

 <職業>    魔剣士3

 <スキル>   スラッシュ、二段斬り、ダッシュ、回避、集中、雷剣、死線

 <魔法スキル> 雷弾、天雷




 目的の『死線』を覚えることができた。それに最上級魔法スキルである『天雷』だってある。


 よし! これで準備は整った。もちろん、これでもソロで10階層ボスを必ず倒せるなんて保証はない。


 でもやるしかない!


 ボスを倒して転移魔法陣で脱出する。それしかない! 少しだけ元気を取り戻した俺は、迷宮の探索を再開した。


 迷宮の階層を隅々まで探索するにはとても長い期間がかかる。普通なら短期時間でボス部屋を見つけるのは難しい。だが望みはある。ボスがいる階層に御遣様が出現する場合、その御遣様を倒すとボスを倒すのに有効なスキルを授けてくれることが多い。その上、ボスはその御遣様の近くにいる。都合が良すぎると思うかもしれないが、ゲームの仕様であれば何もおかしくない。それに俺には完全じゃないとはいえ『迷宮物語』の知識がある。

 俺は慎重に迷宮を探索する。枝道はあったもが直ぐ行き止まりになった。なので実質的に一本道といっていい道をかなり歩いた。バジリスクを見つけたら戦闘を避けてやり過ごす。今のレベルならソロでも倒せる可能性はあるが無駄に危険を犯す必要はない。そして忘れていた疲れを思い出してきた頃、通路の先が大きな扉で塞がれているのが見えた。


 この巨大な洞窟のような場所には不似合いな鈍色に光る金属製の禍々しい扉だ。間違いないこの先にボスがいる。


 俺は目を瞑って、ふーっと息を吐いた。


 やれることはやったはずだ。既に覚悟は決まっている。


 扉の前まで進むと、その巨大さにもかかわらず意外なほどスムーズに扉は両側に開いた。奥には一匹の魔物が見える。姿はこれまで何度も見かけたバジリスクと同じだが色と大きさが全く違う。その鱗は黒い鉱物のようなもので出来ており鈍く光っている。御遣様よりさらに巨大な黒いバジリスクだ。


 金色の瞳が俺を睨む。 


 圧倒的な威圧感に体が強張る。さすが10階層のボスだ。だが、さっきのように剣を落とすなんて無様な真似はしない。さっきより覚悟が決まったのか、それともレベルが上がったせいなのか。どちらかと言うと後者だろうが、理由はなんだっていい。


 やるしかない!


 そもそもここまで生き延びたのが奇跡なのだ。この流れに乗るしかない。そう決心すると大きく深呼吸をしてボス部屋に飛び込んだ。俺が入ってしばらくすると部屋の扉は開いた時と同じようにスムーズに閉じた。


 俺はたった一人でゴレイア迷宮のラスボスの前に立っている。盾役や回復役を引き受けてくれる仲間はいない。


 ボス戦では撤退はできない。背水の陣とはまさにこのことだ!

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