9-6(ヒュドラ討伐の成果).
ザルバ大迷宮20階層のボスであるヒュドラを撃破した俺達は、サラとシルヴィーを入れ替えたメンバーでもクリアした。一度クリアしたことでレベルも上がっていた上、アルスが伝説級の剣を手に入れたことで、大きなピンチもなくクリアできた。そして、今ではクリア回数は10回になった。一度も失敗していない。既にヒュドラでは効率が悪くなってきたので、ここから先はより下の階層でレベル上げをする予定だ。現状の俺達のレベルや装備、そしてスキルがこれだ。
【レオニード・メナシス 17才】
<レベル> 48
<職業> 最上級重剣士4
<スキル> スラッシュ、二段斬り、ダッシュ、回避、回転斬り、集中(B+2)、雷剣、死線、ガード、挑発
<魔法スキル> 雷弾、天雷
<称号> 雷神の守護者
<武器> 魔剣ソウルイーター(伝説級、特殊効果:HP吸収、補助効果:攻撃速度+5%、攻撃速度+3%)
ガーゴイルの盾(レア級、補助効果:状態異常時間+10%)
<装備アイテム> 帰還の腕輪、力の指輪(一般級)、知恵の指輪(一般級)
【アデレード・アルメッサー 17才】
<レベル> 44
<職業> 賢者2
<スキル> 瞑想、後方回避
<魔法スキル> 炎弾(A+1)、炎槍(A+2)、大回復、解毒、浄化、大範囲回復
<武器> キマイラの杖(レア級、補助効果:魔法攻撃力+5%、魔法攻撃力+3%、魔法攻撃力+1%)
<アイテム> 帰還の腕輪、知恵の腕輪(レア級)、精神の指輪(一般級)、魔力の指輪(一般級)、精神の指輪(伝説級)
【アルス 17才】
<レベル> 47
<職業> 最上級剣士4
<スキル> スラッシュ、回避、回転斬り(A+1)、跳躍斬り(A+1、B+1、C+1)、3連撃(B+1)、集中、剛剣、
<魔法スキル> 風刃(A+1)
<称号> 光の守護者
<武器> 英雄の剣(伝説級、特殊効果:HP半減で攻撃量上昇、補助効果:攻撃威力+3%、攻撃速度+1%)
<アイテム> 帰還の腕輪、力の指輪(一般級)、光精霊のマント(レア級)
【サラ・フィッシャー 17才】
<レベル> 44
<職業> 最上級弓士2
<スキル> 強射、チャージショット(A+2、B+1、C+1)、後方回避、呪いの矢(A+1、C+1)、剛射
<武器> ケルベロスの弓(レア級、補助効果:クリティカル率+10%、クリティカル威力+5%)
<アイテム> 帰還の腕輪、必殺の腕輪(一般級)、必殺の腕輪(レア級)
【シルヴィア・ギルリーム 17才】
<レベル> 43
<職業> 魔導士2
<スキル> 後方回避、瞑想(A+2)
<魔法スキル> 氷弾、氷槍(A+1、C+2)、氷矢嵐、解毒
<武器> 氷龍の杖(伝説級、特殊効果:氷属性魔法威力上昇、補助効果:魔法攻撃力+3%)
<装備アイテム> 帰還の腕輪、知恵の指輪(レア級)、魔力の指輪(一般級)、精神の指輪(レア級)
俺はレベル48になった。いよいよレベル50が見えてきた。新しいスキルは覚えていない。次に覚えるのはレベル49になり、最上級重剣士がレベル5になった時だ。21階層から先にいけばすぐに到達できるだろう。25階層までいけばボスを倒さなくても、レベルキャップ解放前のカンストレベルである59になるのも不可能ではない。もちろん25階層のボスを倒せば時間は短縮できる。
アディはレベル44の賢者だ。スキルとしては最上級職の賢者になった時に『回復』が『大回復』に強化されている。このようにスキルによっては強化されると名称が変わるものもある。あとは、20階層ヒュドラのドロップ品である精神の指輪(伝説級)を装備している。伝説級だ! アディはもともと精神の指輪(一般級)を装備していたが、等級が違えば別のアイテムとみなされて装備できる。ステータス精神は魔法防御力のほか回復魔法スキルの効果にも影響がある。
アルスはレベル47の最上級剣士だ。もうレベルは俺と一つしか違わない。さすが主人公だ。
そして、なんといっても剣だ!
最初にヒュドラをクリアした時のボスドロップはなんと伝説級の英雄の剣だった。HPが半分を切ると攻撃力が上がるという主人公のためのような剣だ。この剣を装備したアルスを見たサラが頬を染めて本人以上に喜んでいた。この剣はレベルキャップ解放前の『迷宮物語』でも剣士系のプレイヤーの最終装備として一部の層に好まれていた。一部の層というのは、わざと常時HP50%を切った状態で戦い続けるPSに長けたツワモノ達のことだ。知らずに回復役が回復したりすると、却って文句を言われたりしていた。懐かしい…。
スキル面では、硬直効果のある『剛剣』を取得しているほか、もともと威力の高い『回転斬り』、『跳躍斬り』、『3連撃』の3つのスキルが強化されている。なので、アルスの攻撃力は高い。ちなみに強化Aは威力強化、強化Bは速度アップ、強化CはCT短縮だ。そうでなくても最上級重剣士の俺よりも最上級剣士のアルスのほうが攻撃力は上だ。ただし、本来は先に『集中』を強化したいところだ。選択できないのだから仕方がないが…。
アルスとは逆にサラのスキルには無駄がない。相変わらず一撃必殺のクリティカル攻撃に振り切ったようなスキル構成だ。主力の『チャージショット』は4回強化されている。『チャージショット』は最大5回の強化が可能だが最上級弓士では4回が最高だ。ちなみに、強化Aはクリティカル率とクリティカル威力のアップ、強化Bはチャージ時間短縮、強化CはCT短縮だ。あとは『呪いの矢』のクリティカル耐性を下げる効果がアップする強化Aのほか『剛射』を覚えている。『剛射』は『強射』より威力が高く相手を硬直させる効果がある。『迷宮物語』のPVP勢でもこうしたんじゃないかと思えるようなスキル構成だ。
シルヴィーは俺達よりクリアした回数が少ないこともありレベルは43だ。だが、シルヴィーは俺と同じ元プレイヤーでありスキルを選択できる。このため『瞑想』を2回強化している。俺と違い2回とも効果のアップを選択している。この辺り好みだ。シルヴィーはあくまで魔法スキル一発の威力を上げたいようだ。実際に主力の『氷槍』を3回強化している。強化Cが2回なのは攻撃スキルの数がそれほど多くないため主力の『氷槍』のCTと短縮して数多く打とうということだろう。そして魔法系職の特徴でもある範囲攻撃についても『氷矢雨』を『氷矢嵐』に強化した。『氷矢嵐』は、俺の『天雷』やジギルバルト団長の『超炎爆陣』と同じ最上級攻撃魔法スキルだ。シルヴィーは伝説級の武器の中でも特に氷属性系の魔法職には最適といわれている氷龍の杖を装備している。これは神話級の装備が実装された後でさえ、氷属性を得意とする魔法系職のプレイヤーの中には使い続ける者がいたほどの杖だ。
★★★
「これで、ストレイド王太子の親衛隊にも対抗できそうだね」
シルヴィーの言葉に「もちろんよ」と答えたのはアディだ。俺達は放課後、アルメッサー辺境伯派の会議室のようになっている部屋に集まって会話をしている。
「でも、ストレイド王太子って、今でも親衛隊を増やしているんでしょう?」
「凄く噂になっているよね」
アルスの言う通りで、魔獣狩りでのストレイド王太子とその親衛隊の活躍はここ王都にも伝わっている。
「ストレイド王太子は、私たちと同じでザルバ大迷宮20階層をクリアしてっていう噂もあるよ」
「たぶん、近々公表されるでしょうね」
俺達はヒュドラをクリアしたことを秘密にしている。ストレイド王太子もそうだ。
「アディ、本当なのか?」
俺の質問にアディは大きく頷くと「アルメッサー辺境伯家の情報よ」と言った。
なるほど、やつらはいよいよその実力を隠そうとしなくなっている。これは何かが起こる予兆なのかもしれない。俺は、俺が殺したエルロンのことを思い出した。あいつはあの段階で既にレベル45だった。今なら50を越えていてもおかしくない。
俺はクリスティナ王女の言葉を思い出す。最近、ストレイド王太子の親衛隊の副隊長の姿が見えなくなった…。あの時はクリスティナ王女はそう言っていた。
「エルロンはストレイド王太子と関係があるのか?」
「エルロンって?」
考えていたことを思わず口に出していたようだ。
「サラ、アルメッサー辺境伯領でのウラニア公国との戦争で50人の強者軍団を率いていたのがエルロンよ。レオが1対1で倒したのよ」
アディが得意そうに言った。
「確か、そんな話を聞いたね。そしてその強者軍団っていうのが…」とシルヴィー。
「ああ、俺の見たところストレイド王太子の親衛隊によく似ている気がするんだ」
ストレイド王太子とエルロンが関係あるとすれば、奴らの正体は『流浪の傭兵団』辺りだろう。インプレサリオ達と繋がっていないとすれば他のクランの元プレイヤーと考えるのが妥当だ。
もし『流浪の傭兵団』ならストレイド王太子がベルゼフかバルベリ…。エルロンは俺と同じ最上級重剣士だったんだから…タロスってとこか…。
だとしたら、マスターは…。
「うちは王族派なのよ。いくらなんでもストレイド王太子がウラニア公国と繋がっているなんて…」
アディがそう言うの無理もない。だが…。
「だけど王家と関係があるっていう『グリフォンの鬣』は俺達を襲ってきた。あの場にはアディもいたのに…」
「そういえば、そうだったわね。思い出したくもないから、忘れていたわ」
それに…スランヤ地域にはミスリルとアダマンタイトの鉱脈がある。『迷宮物語』のプレイヤーなら知っているはずだ。




