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100/114

9-5(20階層ヒュドラ3).

 ちょうど100話目となりました。読んで下さる方のおかげです。ありがとうございます。

 ぶーん!!!!


 風圧を感じると同時に体を回転させる全体攻撃が来た。


「『ガード』!」


 バシーーーン!!!!


 俺はタイミングよく『ガード』を使った。みんなもこの攻撃を予想して十分な距離を取っていた。さすがに、この攻撃には慣れてきた。似たような攻撃をしてくるボスは多い。ヒュドラの場合、20%を切って狂乱状態になったらまずこれがくる。


「『天雷』!」


 俺はすかさず『天雷』を使った。


 バリバリバリバリ!!!


 狂乱状態は長引かせてはだめだ。狂乱状態の時は防御力も下がっている。『迷宮物語』では、レベルの高いパーティーにとっては狂乱状態はむしろチャンスであり、ボスが全体攻撃などを使う間もなく倒してしまうことも多かった。そこまで強くなれば安全なのだが…。まあ、俺達はそうはいかない。


「ぎゃあぁぁぁーーー!!!」


 ヒュドラは残った3本の首をうねらせて苦しんでいる。 


「『炎弾』、『炎槍』!」

「『呪いの矢』、『剛射』、『チャージショット』!」

「『風刃』!」


 3人が『天雷』に合わせて次々に遠距離攻撃スキル放つ。アディは『瞑想』をここぞとばかりに発動させて攻撃している。


「『集中』、『雷剣』!」


 『天雷』が終わり、俺は『集中』と『雷剣』を発動した。


「『雷弾』!」


 俺は『雷弾』を発動するとヒュドラに近づいた。残念ながら硬直は発生していない。


「『スラッシュ』!」

「ぐうぅー!」


 それでも俺は構わず斬り掛かる。当然、ヒュドラも反撃してくる。俺は盾で受け流すがダメージは受けている。


「『大範囲回復』!」


 アディが俺の足元に回復エリアを出現させてくれた。ありがたい。


「『跳躍斬り』!」


 アルスがジャンプしてヒュドラを斬りつけるとヒュドラは一瞬硬直した。アルスは『集中』を発動中だからステータスも上がっている。


「『二段斬り』、『ダッシュ』、『回転斬り』!」


 ヒュドラが硬直したのを見逃さず、俺は『二段斬り』から『ダッシュ』を使うと『回転斬り』に繋げた。狙いは青い頭だ。


「『3連撃』、『剛剣』、『回転斬り』!」


 アルスのほうは『跳躍斬り』で硬直したヒュドラに『3連撃』を使うと、続けて『剛剣』で再び硬直させて『回転斬り』に繋げた。2つのコンボを続けて使った格好だ。さすが主人公だ。ただし、俺がタゲを取っているとはいっても、狂乱状態のヒュドラが巨体で暴れているのでアルスは一定のダメージを受けている。近接がこうなるのは已むを得ない。盾を持っている俺でさえ一定のダメージを受けているのだ。


「アディ! アルスを」


 俺の声にアディが「『大回復』!」と叫んでアルスを回復した。


「毒攻撃がくるよ!」


 サラが叫ぶ。黒い頭がうねっている。10%が近い…。黒い頭が次々と毒の塊を吐き出す。狂乱状態なのでこれまでの2回より毒の塊を吐き出すスピードが速い。


「きゃー!!」


 サラに毒が掠ってしまった。


「『解毒』!」


 アディがすかさず『解毒』を使う。アディも毒の塊を避けながらだ。アディも回復役として堂に入ってきた。俺は次の攻撃で安全地帯になる場所を確認する。


 くそー! やっぱり、どの安全地帯も遠い。いやな仕様だ…。


「あそこに移動しよう!」


 俺はみんなに声を掛けると薄く光っている3つの毒床の一つを目指して移動する。


「レオ!」


 サラが叫ぶ!


 今度は俺も見ていた。青い頭が少し後ろに引かれて波打っている。ブレスを吐く予備動作だ。また、このタイミングか…。つくづく運が悪い。『迷宮物語』なら諦めてやり直すところだ。だが、この世界でその選択肢はない。


 俺は青い頭と安全地帯の間に立って盾を構えた。


「氷のブレスは俺が防ぐ。みんなは安全地帯に移動するんだ!」


 既に毒床は普通の状態に戻っている。すぐに例の『天雷』に似た全体攻撃が来るだろう。


 ゴゴゴゴォォォォーーー!!!


「ぐうぅぅーー!!」


 俺は盾を構えて氷のブレスを防ぐ。だが、結構なダメージを受けている。みんなは俺の背後を移動して安全地帯に到達できたようだ。


 来る!!!


 氷のブレスが終わると同時に今度は紫の頭がくねくねと動いた。


「『大範囲回復』!」


 アディが俺と安全地帯の間に回復エリアを作ってくれた。だけど、あの攻撃には『天雷』と同じ硬直効果がある。


 バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!!


 無数の稲妻が上から降り注ぐ! 稲妻が当たった床も光るので上も下も眩しいことこの上ない。


 くそーー!!


「レオーーーーーー!!!!」


 アディの悲鳴が聞こえる。


「『ダッシュ』!」


 俺は『ダッシュ』でアディ達がいる安全地帯に向かった。『ダッシュ』にはスーパーアーマー効果がついている。ダメージは受けるがアディの出してくれた回復エリアの上だ。だけど、まだ安全地帯までは距離がある。


「『ガード』!」


 更に、俺は盾を上に向けて『ガード』を使いながら移動する。さっき、氷のブレスを防御した時には意識してスキルの『ガード』は使わなかった。その代わり、かなりのダメージを受けたのだが…。『ガード』には2秒間の無敵効果がある。


「『回転斬り』!」


 『ガード』の無敵時間が終わると、今度は『回転斬り』を発動しながら安全地帯を目指す。『回転斬り』にもスーパーアーマー効果がある。でも、ダメージは受ける…。一応『大範囲回復』効果は続いているのだが…。回転しながらの移動なので方向感覚を保つのが難しい。それでも、俺はフラフラしながらも安全地帯に近づいている。


 もう少しだ…。


 バリバリバリ!!!


 まだ稲妻は降り注いでいる。


「『回避』!」

「うっ!!」


 最後に俺は『回避』を使って安全地帯に転がり込んだ。だが、『回避』の無敵時間は一秒もない。俺は稲妻を一発食らって硬直している。


「レオ!!」


 アディが硬直している俺を安全地帯で抱きしめてきた。


 く、苦しいよ、アディ…。


 俺は稲妻とその前のブレスでかなりのダメージを受けている…。


 しばらくして、アルスが「アディ…。そろそろレオを回復してあげたほうがいいよ」と指摘した。アルスはこんな時でも冷静だ。さすが主人公だ…。


 アディは俺に『大回復』を使ってくれた。


「ふーっ」


 助かった…。


「あと10%だ。だけど全部の頭を落とさないと終わらない」


 今度は時間との勝負だ。制限時間内に残り3つの頭を落とさないと失敗だ。制限時間を過ぎるとまたすべての頭が再生してしまう。


「『チャージショット』!」

「『炎槍』!」


 ドスン!


 安全地帯からのサラとアディの遠距離攻撃で青い頭が燃え尽きるように地面に落下した。もともと青い頭にはあと少しのところまでダメージを与えていた。それに、青い頭は炎属性の攻撃に弱い。もうちょっと早く青い頭を落とせていれば氷のブレスが来ることもなかったのだが…。だが、炎属性攻撃魔法スキルを得意とするアディはどちらかというと回復役としての役目に注力していたから仕方がない。


 あと二つだ!


 『天雷』に似た攻撃が終わると同時に俺とアルスは並んで駆け出した。狙いは黒い頭だ。もう特殊攻撃はない。さっき最後のやつが終わったからだ。大回転する全体攻撃も20%で最後だ。狂乱状態なのでまだ油断はできないが、後は制限時間との戦いだ!


 俺達は全力で攻撃を続ける…。


「『雷弾』、『二段斬り』、『ダッシュ』、『スラッシュ』!」

「『跳躍斬り』、『3連撃』、『剛剣』!」


 俺とアルスが並んで黒い頭に攻撃する。


「ぐぎゃあぁぁー!!」


 特殊攻撃が終わっているとは言っても、狂乱状態のヒュドラの攻撃が俺達のHPを削る。


 「『大範囲回復』!」


 アディが俺達の足元に回復エリアを出現させる。


「『回転斬り』!」

「『回転斬り』!」


 俺とアルスは回復エリアの上で同時に『回転斬り』を使った。俺とアルスの息はぴったりだ。


 ドスン!


 黒い頭が斬り落とされて床に転がった。


「あと一つだ!!」


 俺は叫ぶ!


「『剛射』、『呪いの矢』、『強射』、『チャージショット』!」


 サラは既に紫の頭に遠距離から攻撃している。


「『大回復』!」


 アディはアルスを回復する。回復エリアの効果があったとはいえ、俺に比べて攻撃力は高いが耐久力に劣るアルスはさっきの一連の攻撃中にかなりHPを減らしている。俺の方は魔剣ソウルイーターの効果もある上、盾を装備しているおかげで、まだ大丈夫だ。


 まずい!!!


 ヒュドラの体全体が輝いている。再生を始める合図だ。時間が…。


「アルス! 急ぐぞ! アディも攻撃して!!」


 俺は悲鳴のように指示をすると『ダッシュ』で紫の頭に近づいた。


「『跳躍斬り』!」


 アルスも『跳躍斬り』で一気に距離を詰める。


 その後はあまり覚えていない。とにかくあらゆるスキルを使いまくって攻撃した。俺だけじゃない。全員でだ!


 次に気がついた時、目の前に紫の頭が転がっていた…。しばらくするとヒュドラの体を包んでいた光が波が引いてくように収まった。


 そして…。


「やったわね!」


 ヒュドラの魔石を前に両足を肩幅に開いて仁王立ちしているアディが言った。ヒュドラは魔石に変わっていた。アディの顔が興奮と喜びで赤い。部屋の中なのにアディの燃えるような赤い髪が波打っているように見えた。


 その光景を眺めながら、こんな時でもアディは格好いいし可愛いなと、俺はぼんやり考えていた…。


 疲れた…。


 それにしてもヒュドラは手強かった。だが俺達は一回でクリアした。これは誇ってもいいだろう。


 ん!?


 ボスドロップは剣のようだ。あれは…。ヒュドラの剣じゃない。もっと特別なものだ。

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100話到達おめでとうございます&お疲れ様です。
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