夢を追う者
「あなたは誰ですか?」
そう聞くと、また、彼は笑った。
「ふぉっふぉっふぉ、わしか?わしはただここでこいつの修理をしている老いぼれじゃよ。」
そう言い、さっきまで手入れをしていた飛行機を撫でた。塗装が所々剥げており、年季を漂わせる雰囲気をまとっている。
「これ、動くんですか?」
「いや、残念ながら動かないんじゃよ。」
「動かない?」
おじいさんは、髭を撫でながら苦笑いをした。
「そうじゃ。これは、わしがこの都市にあったこれの部品をかき集めて作ったんじゃが、どうもうまく動かないんじゃ。」
「飛行機の見た目は大丈夫そうですけど...」
「ほう、これは飛行機と言うのか。いい名前じゃの。」
名前を知らなかったの...?知らずにこれを直していたのかな?
「多分、中身に問題があるんだろうねぇ。」
コンコン、とミールが飛行機を軽く叩いた。
「少し見させてもらったけど、パーツが足りないんだよねぇ、二個ぐらい。でも、それ以外は大丈夫だねぇ。というか、じいさん。」
ミールがまっすぐ彼を見た。
「あんた、何年、いや、何十年これをやったんだい?」
「...お嬢さん、見ただけでわかるのか?」
「いや、見ただけじゃわからないねぇ。ただ、これの部品を一から探し集め、一から見たこともない飛行機の設計図を描いて、その手探りの状態をたった一人でやっているんだ。それぐらいはかかるだろうさ。
それに、」
ミールは、ニッと笑った。
「私だって、科学者の端くれだしねぇ。あんたの苦労はわかっているつもりさ。」
「...そう、か...。」
おじいさんは、笑顔で笑った。嬉しそうな、子供が親に褒められたかのように。
「一つ、頼み事をしてもいいかの?」
「いいよ。」
「...聞いておいてなんじゃが、そんなあっさりいいのか?」
「だって、俺は旅人なんだし。それに、飛行機を飛ばすのが"夢"何でしょ?なら手伝うしかないじゃん。」
シロは親指をたてて笑った。
「そうか...、わしは、運が良いな。」
そう言うと、おじいさんは設計図を持って見せてきた。
「わしの予想だが、こことここにパーツがまだあると思っておる。だから、そのパーツを他の飛行機から探してきて欲しいのじゃ。」
「うん。わかりました。じゃあ、ちょっと待っててね。」
そうして、おじいさんから設計図を借りて部品を探しに出た。
「なかなかないね。」
「ここら辺はあらかた探したって言ってたし、多分もうちょい遠くにいかないとないよこれ。」
「じゃあ、いくしかないねぇ。」
都市の中心部に向かう度に、どんどん残骸の量が増えていった。どれぐらい探したんだろう。倉庫の周辺を探したり、少し離れたところも見て回った。でもなかなか部品は見つからなかった。
「なかなかないね。大体部品が朽ちてるか、そもそも大破してて失くなってるかしてるし。」
「まぁそうだろうねぇ、綺麗な機体があったら一番よかったんだけどねぇ。」
まぁいつからあるかもわからないから仕方がないのかな。まぁ、もうちょっと探してみよっかな...ん?あの瓦礫...。
「レイー、どうしたのー?何かじっと見てるけど。」
「えっと、この中がちょっと気になって。」
「瓦礫の中が?」
「うん。何か、空洞になってるみたいで。」
穴を覗くと、真っ暗な空間があったし、何より風が吹き出てるんだよね。瓦礫が落ちてきて空洞ができることはないし、風が吹いてくるってことは...。
「人工的に置いた...?」
すると、ポンポンと撫でる感触が頭にきた。
「どうやらそうみたいだねぇ。お手柄だねぇ。シロ、この瓦礫どかしてくれよ。」
「はいはいっと。」
シロは軽くストレッチをすると、瓦礫を蹴って吹っ飛ばした。
...うん、何で蹴って吹っ飛ばせるんだろうね。あの瓦礫人より大きいし、絶対びくともしないはずなんだけどね。
「これが力の差かぁ、」
「いやいや、あれは普通できないさ。シロが強すぎるんだよねぇ。」
「あ、そうなの?良かったよ、みんなこんな感じじゃなくて。」
本当によかった。みんなこれできてたら盗賊とかに会ったとき勝てる未来が見えないもん。
瓦礫をどかした場所には案の定空間があった。そこに入ってみると、
「ビンゴ、だねぇ。」
そこには、片翼がもげてしまっているが、おじいさんのところにあった飛行機と同じ物が、あった。
霹靂■二
比較的多く■■された局地■■機。戦争中期に多く生産され、■■の主力戦闘機となった。速度、航■■離、操縦性共に旧世■■である霹■改よりも向上しており、「最も扱■■すい戦闘機」として操縦士たちに■■だった。