探し物
この世界には国とは別に廃れた都市というものがある。広いものもあれば狭いものもあり、大きい建物がある都市もあれば住宅街もあり、その種類は千差万別。ただ、全てに共通されていることはかつて化学が発展した跡であり、唯一その時代の物がある場所ということらしい。
「ミカエラの探索って、何か欲しいものでもあるの?」
「ああ、ちょっと作ってる物があるんだけどねぇ。それに必要な材料が丁度この都市にあるって聞いてね。」
「えっと、ミカエラってどこ?」
「あー、そうだった。ここに来るときでっかい建物がたくさんある場所が見えたでしょ?あそこのことだよ。」
あー、確かにあった。ものすごく気になってたんだっけ。自分が目覚めた場所とはまた違ったような都市だったし。
「それで、その欲しい物でどんな新しい発明を作るの?」
「おい、最後のは余計だよ。何だい変なものって。そんな物作って「じゃあ何でこの前盛大に爆発してたの?」....。」
ミールは肩をすくめようとしていたけど、シロの一言でスッと顔を背けていた。まぁ、擁護できないよね。爆発するのは流石にね...。
「まぁ、あの時は仕方がなかったのさ。それに今回は大丈夫なはずだよ。」
「はずって...、まぁいいか。それで、結局何なの?」
「ちょっと待ってな。今試作品を持ってくるから。」
そう言ってカウンター奥に隠れていった。しばらくすると、なにかを握って戻ってきた。
カウンターに置かれたそれの蓋を開けると針がぐるぐる回っている。
これって、
「方位磁針?」
「ああ、そうだよ。でも、半分正解ってところだねぇ。」
「...それで、これは何ができる道具?」
「これはね、いわゆるレーダーみたいなものなんだよね。」
ミールいわく、これを持っている人の今一番欲しいもの、いきたい場所、会いたい人を指すらしい。いわば「欲しいものレーダー」ということだ。
大発明じゃん。自分の知ってる科学じゃない気がするけど、まぁ魔法がある世界だし。うん。
「あとは何が足りない?見た感じは完成してるけど。」
彼女はため息をついて、苦虫を噛み潰したような顔をした。
「それがね、これ、磁場の出力が弱いから遠距離だとこうかがないんだよねぇ、そのためにコイルが欲しいってわけさ。」
「なるほどね。じゃあ、明日出発でいい?さすがに今からじゃ準備間に合わなさそうだし。」
「そうしようかねぇ、もう暗いし。あ、泊まってくかい?」
「そうさせてもらうよ。」
何かとんとん拍子で色々決まった...、まぁ楽しそうだしいっか!
そう思い背伸びをした。
「ん...、しょと。」
「とりあえず準備だけしよっか。そうだ、レイー。」
「ん?どうしたの?」
シロは、今まで持っていた物──鉄パイプを渡してきた。以外と手に馴染んだからか、凄い扱いやすそうだ。
「護身用に持ってて。都市って結構盗賊とかいたりするから。」
「...え?」
盗賊とかいるんだ...。まぁそういう感じの世界だしいるよね、うん。
でもまぁ、初めての都市探索は楽しそうだ。
そう思い、明日の準備を進めた。
【戦跡■市ミカエラ】
都■の中で■■きい五大都市が一つ。発見されている都市の中で二番目に面積■広■。特徴として大型■■物が多い、名の通り過去の争■■が都市の中で一番色濃く残■■いる点がある。