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新春短編:タイトル未定~核戦争を阻止せよ!!皇女と特殊作戦部隊はじまりの物語(仮)

作者: かいちょう

 199X年、世界は2大大国による核の全面戦争の脅威に晒されていた。

 この危機を救ったのはとある小国の諜報組織、その直属の少数精鋭の戦闘偵察部隊だと言われている。


 そして、時は流れ202X年、世界は再び核戦争の脅威に晒されていた……




 某国の領海、その海上を一隻の漁船が航行していた。

 しかし、その漁船の動きは明らかにおかしい。

 どう見て、魚一匹獲れそうにない海域を何かから逃げるように全速力で航行しているのだ。

 しかも、その速さはどう考えても漁船のものとは思えない速さである。


 そして闇夜に紛れるようにライトの類は一切つけていない。

 あきらかな不審船だ。


 そんな不審船の上空を一機のヘリが飛行していた。

 そのヘリは不審船同様、闇夜に紛れるためライトの類をつけておらず、機体の塗装も暗黒迷彩でレーダーに映らないステルス仕様だ。

 更には最新のサイレントローターを装備しているため、ヘリが飛行しているとわかる爆音のローター音が一切していない。


 まさに相手に自らの居場所を悟らせない空の忍者だ。

 そんなステルスヘリの中では特殊部隊の面々が今まさに眼下の不審船を強襲すべく準備を整えていた。




 「はい、お客さまの皆さま、当機は目的地に到着しました。快適な空の旅をお楽しみいただきありがとうございます。またのご利用、搭乗員一同心よりお待ちしています、それではシートベルトを外して、快適とはほど遠い飛び降りのスリルをお楽しみください、幸運を」


 へリのパイロットが機内無線で笑いをこらえながらそんな冗談を言ってくる。

 これを聞いた一同は苦笑しながらもそれぞれ装備の最終チェックを行い、おもむろに重い腰をあげる。

 ヘリの搭乗員がドアをスライドさせ、外から冷たい強風が機内に流れ込んでくる。


 そんな風を受けながら誰もが無言で開いたドアの先へと進み、そして次々と飛び降りていく。

 そして最後に自分の番が来た。


 「ふぅ」


 軽く息を吐いて、胸元のペンダントを握りしめて小さく印を切る。


 「主よ、我らを護りたまえ、祝福をもたらしたまえ、任務を遂行する力を与えたまえ……アーメン」


 小声でつぶやくと、ドアの横で機関銃を手に周囲を警戒していたヘリの搭乗員が声をかけてきた。


 「祈りはすんだか?」

 「あぁ、問題ない」

 「ならいけ! さっさと世界を救ってこい!! ハリアップ!!」


 彼に促されるがまま、眼下に広がる漆黒の夜の海へとダイブした。


 全員が飛び降りたのを確認して機関銃を手に警戒していた搭乗員がドアを閉める。

 そして完全に閉め切る直前、彼は一言つぶやいた。


 「勇敢な勇者たちにどうか神のご加護を」


 そしてヘリは誰にも気づかれる事なく現場海域を離れていく。




 ヘリから飛び降りたわずか5名の精鋭たちは誰ひとり欠ける事なく、相手に見つかる事無く、無事不審船の甲板に物音ひとつ立てず降り立った。

 そして誰もが素早く短機関銃を取り出し構えて周囲の確認を行う。


 「周囲に敵影なし、これより甲板の索敵を行う。ジャックとデービスは右舷を、ウィルとトンプソンは俺と一緒に左舷だ」

 「「「「ラジャー!!」」」」


 こちらの指示に皆が従い迅速に行動を開始する。

 大胆に、しかし慎重に甲板を調べていき安全が確認された。


 「もうすぐ合流地点だ。時間がない、船内に突入する。俺とウィルとトンプソンは船主のデッキから中に突入する。ジャックとデービスは手短に操舵室を制圧しろ」

 「「「「ラジャー!!」」」」


 返事と共にジャックとデービスは操舵室の制圧に向かう、それを見てこちらも船首から船内に入るべく行動を開始する。




 船内に突入してすぐに目的のブツに出くわした。


 「おいおい、不用心もほどがあるだろ!!」


 船首の真下にあるスペース、本来なら船員たちの私物などを保管するためのそのスペースにそれはあった。

 無造作に床に置かれたそれは、厳重なプロテクトコードで守られたアタッシュケース。

 その中身は言うまでもない……


 「こいつら……マジで大陸ひとつぶっ飛ばせるレベルの威力を持つ小型の核弾頭をこんな漁船で持ち出してやがったのかよ!!」


 信じられないといった表情のウィルにトンプソンは。


 「ブリーフィングで聞いていたとはいえ、この目で見るまでは半信半疑だったが……本当だったとは、ただただ呆れるしかないな」


 大きなため息とともに頭を抱えた。

 そんな2人に軽く同意しながらも、しかしだからと言って一緒になって呆れて手を止めるわけにはいかない。

 こうしている今も船は敵の目指す場所にむかっているのだから。


 「さぁ、御託は後だ。仕事にかかるぞ」


 なので二人を促して小型の核弾頭の回収にかかろうとしたところで。


 「それはいけませんねぇ? そのアタッシュケースは我らの希望なのですから……」


 何者かの声が船室の外から聞こえてきた。


 「っ!!」


 自分も含めて皆が銃を構える中、船室の扉が開かれ、一人の男が室内へと入ってくる。

 その男の顔を見て、思わず目を見開く。


 「て、てめーはっ!!」


 そんなこちらの反応を見て室内に入ってきた男はニヤリと笑うと。


 「久しいなドグ、ベーリンク海戦以来か?」


 そう言って右手をあげ、それと同時に一体どこに潜んでいたのか?狭い室内のいたるところから小銃を構えた敵の工作員が姿を現し、こちらに銃口を向けてくる。


 「くそが!! ふざけやがって!!」


 ウィルとトンプソンも彼らに銃を向けるが多勢に無勢、今銃撃戦が始まれば確実にこちらが全滅するだろう。

 ゆえに彼らのボスたる男は。


 「銃を捨てろドグ、無駄死にしたいか?」


 そう指図してきた。

 これにウィルとトンプソンがブチ切れる。


 「無駄死にだ? ふざけるな!! 俺たちを見くびるなよ!!」

 「あぁ、同感だ!! こんな状況屁でもねぇ! 切り抜けてやるぜ!!」


 そういきまく二人にため息交じりに両手をあげて銃を床に落としながら指示を出す。


 「銃を下ろせ、二人とも」


 この言葉を聞いた二人は信じられないといった表情を浮かべ。


 「隊長? 何を言ってるんです?」

 「まさか投降する気ですか?」


 そう訊ねてきた。

 そんなふたりに。


 「あぁ、そうだ。今の俺たちに勝ち目はねぇ。冷静になれ! ここで死んでも意味はない。生きて機会を窺うんだ! これは命令だ!! いいか!? もう一度言うぞ!! これは命令だ!! 銃を捨てろ!! 今は命を拾うんだ!!」


 そう強い口調で促した。

 これにふたりはうんざりといった表情となり。


 「ファック!! 核戦争の脅威はどうでもいいってのか!?」

 「こんな最悪な命令あるかよ」


 そう反発するも、命令にには従い、切れ気味に手にした銃を床に叩きつけ両手をあげた。

 それを見て男は満足したように頷き。


 「いい子だ、聞き分けのいいやつは好きだぞドグ。……拘束しろ」


 武装した工作員たちに指示を出す。

 工作員たちが自分たちを取り押さえる中、男はこちらを見てニヤリと笑い。


 「みじめだな? だが安心しろドグ。大人しくしていれば殺しはしない。おとなしくしていればな? 自分を映画の主人公か何かだと勘違いして変な気を起こすなよ?」


 そう釘を刺して部屋から出ていった。




 さきほどとは別の船室に連れて行かれると、そこには拘束されたジャックがいた。


 「隊長……」


 そんなジャックに謝罪する。


 「すまない、ヘマをした……」

 「それはこちらのセリフです隊長、私がしっかりしていれば拘束されずに隊長たちを助け出す事もできたかもしれなかったのに……」


 そう申し訳なさそうにするジャックに「気にするな」と声をかけ、そして周囲を見回してデービスの姿がない事を確認し。


 「デービスはどうした? うまく逃げたのか?」


 そう訊ねるがジャックは。


 「いえ……殺されました」


 消え入るような声で簡潔に答える。

 そんなジャックに「そうか……」とだけしか答えられず、それを聞いたウィルが「クソが!!」と怒鳴りだした。


 「隊長!! デービスの仇を討つべきじゃないのか!? 弔い合戦をするべきじゃないのか!? そうだろ!!」

 「落ち着けウィル」

 「落ち着けだ? おいおい隊長!! 何言ってやがる!! 仲間をやられて落ち着いてられるか!! 悔しくねーのか!!」

 「どの道今の俺たちにはどうする事もできん」

 「あぁ、そうだな? どうする事もできねーな!? どこかの誰かさんがあっさり降伏したからよぉ!?」


 そう怒鳴り散らすウィルに何か言おうとしたところで。


 「だったら手を貸してあげようか?」


 そんな女性の声が部屋の外から消えた。


 「誰だ!?」


 誰もが警戒して声がした方、部屋の扉に目を向ける。

 すると扉が開かれ、中に一人の少女が入ってきた。


 「君は?」


 その少女に訊ねると彼女は。


 「私はサミア=ルイ=エリグレット。皇国の第2皇女よ」


 そうドヤ顔で名乗った。

 その名乗りに全員が驚き目を開く。


 「はぁ!? え? ちょっと待って? 冗談、だよな?」

 「サミアだって!? おいおい、うそだろ!?」

 「皇女殿下!? なんでこんなところに!?」

 「皇国の皇族さまだと!? いや、ありえないだろ!?」


 そんなこちらの反応を見て自らを皇女だと名乗った少女は満足そうに云々と頷き。


 「まぁ驚くのも無理はないよね? でも、私は皇女、これは事実だから」


 そう言って再びドヤ顔を決めてきた。

 そんな彼女を見て困惑していたが。


 「いや、しかし……仮に本当に皇女殿下だとして、何故こんなところに? まさか皇国は今回の件の黒幕なのか!?」

 「いやいや、それはないよ? うーん……実はちょ~っと込み入った事情があってね? のっぴきならない状態なのよね?」


 彼女はそう言うと。


 「そこであなた達、今だけ私に雇われない? それは結果的にあなた達の任務達成にも繋がると思うよ」


 ニッコリと笑って見せた。

 そんな彼女を見て、誰もがどう返答すべきか迷っていると、彼女はこちらの返事を待たずに。


 「さぁ、私の元で世界を救うのよ!!」


 そう言ってこちらに手を差し出してきた。

 その手を取るべきか否か……

 いずれにせよ、拘束されている現状ではどう足掻いてもその手を取る事はできないわけだが……




 この後、ドグたちと皇女サミアは世界を核戦争の脅威から救う活躍をし、歴史にその名を刻む事になるのだが、それはまだ少し先のお話。


 これはそんな歴史上の英雄の出会いの物語、そのはじまりのお話である。

あけましておめでとうございます

2025年元旦に新年最初の投稿

完全新作です、ちょっとばかし反応あれば続き書いて連載版やるかもです


今年もどうぞよろしくお願いします

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