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異端のダークヒーラー、魔国幹部として人類を衰退に導くようです~金と知識を求めていただけなのに、なぜか伝説になっていました~  作者: 浅見朝志


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第232話 まともなヤツがいない!

黒の森への出発当日。

当然のごとく、魔国から西方エルフ国家の西の果てに行くには途方もない時間がかかるので、メリッサを利用していくことになる。



「今さらオレのことを手軽く使うことに何を言うつもりもないが……しかしだな、行けるのは黒の森から少し離れた場所までだぞ」



休診日であるアラヤ総合医院前に集まった俺たちを前に、ため息交じりにそう言ったのはメリッサ。



「直接黒の森の手前まで行ってしまえば、さすがにモナルダに勘付かれるからな。それで? 行くのは結局誰なんだ?」


「私とジラド、ボグ殿、それに新人のオトガイくんだ」



俺がそうメンバーを紹介すると、さっそく「ウイっスー!」と、オトガイがメリッサの前へとやってくる。



「はじめましてだね、メリっち!」


「……オレの名はメリッサだ」


「メリっちはぁ、エルフだし賢者だしでめっちゃ強いんだよねっ? いいなぁ。いつか戦ってみたいなぁ……!」


「だからメリッサだ! それにしても……フン。魔国幹部ですらない、おまえ程度の魔族がオレと戦うだと? 笑わせてくれる」



皮肉げに口元を歪めるメリッサだったが、しかしオトガイにそれが通じた様子はない。



「え~! それ笑顔っ!? メリっちマジでおもしろ~い! 笑うのめっちゃ下手くそじゃーん! 素がカワイイのにもったいなーい!」


「……なんだコイツ」



手を叩いて笑い始めるオトガイに、メリッサはゲンナリとした様子で俺を見てくる。



「まあ明るい子なのだよ」


「脳足りん過ぎないか? ……まあいい。それで?」


「それで、とは?」


「だから、黒の森に行く他のメンバーだ。女騎士と、秘書もついてくるのか?」


「いや。この四人だけだが」


「……はぁっ!?」



素っ頓狂な声を上げて、メリッサはその目を丸くする。



「お、おまえ、モナルダと話し合いに行くのだと言ったよな……?」


「言ったが? それがどうした?」


「どうもこうも、まともなヤツが一人もいないじゃないかっ!」



言語道断とでも言うかのように叫ぶメリッサ。

それからビシリと俺のことを指さしたかと思うと、



「診察バカのキウイ・アラヤ! おまえの無口なイエスマン暗殺者! 脳軽オーガ女! そもそも会話ができん死神! こんなのぜったい話し合いに行くメンツではないだろうが!」



そう言って一人一人に指を突きつけてくる。



「これならまだオレが直接行った方がマシなのではっ!?」


「そもそもモナルダへと接触できる可能性が皆無であろうメリッサに言われてもね」


「グッ……」


「まあ大船に乗った気持ちで任せておきたまえよ。私には勝算がある。しっかりモナルダと接触し、友好的な関係を築いてこよう」



そうしないと診察もおちおちできないからね。

メリッサは、俺の言葉に納得はいっていなさそうながらも、



「……仕方あるまい」



そう大きなため息交じりに、渋々と頷いた。



「わかったよ。おまえたち四人を連れて行く。もう準備はいいんだな?」


「ああ、構わない」



俺、ジラド、オトガイ、そしてボグは共にメリッサの元へと近づいた。

そして、



「では、行ってくる。ミルフォビアくん、シェス、留守は頼んだよ」


「気を付けて行ってくださいね」


「キウイ様……」



いつも見送る立場に徹してくれるミルフォビアはともかく、シェスは弱々しくうなだれたままだった。その様子はまるで、初めてのお留守番を命じられた子犬のようでもあり、見てるとなんだか少し心が痛くなってしまう。



「シェス。そんなに不安がることはない。別に何も戦いに赴くわけではないのだから」


「……はい。それは存じておりますが」



フゥ、と。

深いため息を吐くシェス。

シェスには休暇を与えているのだが……この調子ではゆっくり休むこともままならないだろう。



「……シェス。君に任務を与えよう」


「えっ?」


「ポーション研究所の警護を頼みたいのだ」



どうやらシェスは休んでいるよりも働いていた方が精神が安定するようだし、従事する仕事があれば気もまぎれるはずだ。



「今、あそこではムコムゥの主導のもと、ポーション大量生産のための研究が進んでいる。万が一にも技術情報の流出は避けたい」


「……は。承知いたしました。必ずや、守り抜いてみせましょう。仮に侵入者や工作員などを見つけた場合、その処遇はどういたしますか?」


「そうだな……まあ、生け捕りが望ましいな」



まあ、追い返すだけでもいいんだが。

とはいえ、敵が誰かを把握しておくに越したこともない。



「はっ。そのようにいたします」



シェスは深々と一礼し、



「少しでも不審な動きをする影があれば、地の果てまで追って生け捕りにいたします!」


「いや……そこまでしなくてもいいのだが」


「がんばります!」



シェスはグッと拳を握り締め、その固い決意をあらわにする。



……まあ、いいか。気がまぎれるのであれば、それで。



「よろしく頼んだよ」



俺はそう言い残すと、メリッサへと合図を出す。

すると、メリッサの近くに集まっていた俺たちの体は西の方角へと吸い寄せられるように空中へと浮いて、高速での飛行を始めた。


いつもお読みいただきありがとうございます!

次のエピソードは「第233話 屈辱は忘れていないぞ、ダークヒーラー!」です。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


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次回は12/22更新予定です。

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