002話
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英雄の力が目障りだと感じる様になった王。目立ちすぎだと感じる様になった他の人に。
それはまるで雨をい受け止める水面の様に揺れてゆく。やがて、その揺らぎが伝播し人々の総意となってゆく。
小さな波は、力を得る事で大きな津波に変貌する。
動物は一時の恩など覚えない。──いや、覚えているのかもしれないが、それ以上に、憎しみ、嫉妬、憎悪が勝ってしまうと一時の恩は何事もなかったかの様に無に帰す。そして人々に殺される英雄。だが、皮肉な事に弱者は群れていても強者には勝てない。アリンコが1万匹いても『うわっ!気持ち悪!』とか、なんとかで終わる。
善人はそっとしておいたりするのかもしれないが、この世の大半は悪人だ。自己中で利己的だ。
──つまり、自分の気持ちを著しく害した。などとそれっぽい理由をつけて自分よりも明らかな格下を殺す人間の方が多いのだ。そこに残るのは、やり過ぎて感じさえしなくなった優越感と、死後の世界などと腹がちぎれそうなぐらい笑える妄想だけだろう。
そしてまた弱者という枠組みの中から強者というただ殺される為に生まれてきた様な存在を創り出す。
そして、弱者が強者と渡り合っているかの様な幻想を生み出し、また人々は優越感に浸る。
つまり、種族内で特異点がある奴は良くも悪くも目立ってしまう。さらに、その特異点を自由自在に操っていると、やがて受け過ぎた羨望や期待はいつかのきっかけを機に妬みや恨みに変わってしまう。羨ましいなんてものは、妬ましいに変化してゆく。助けに来てくれるという期待は、助けてくれなかったという些細な事実によって変化する。
それが元英雄レギトの考えだった。
人と人は絶対に分かり合えないし、手を取り合う存在が現れるならば全てを用いてそれを破壊する。
それなのに。やれ世界平和が〜とか、平和の為に条約を!!!みたいな戯言は笑えない虚言である。
「まぁ...なんだ。あんまり気負うなよ。いかに英雄といえど救えねぇモンはある。手から水のように抜けていくものはある。目の前のモンが救えるだけで大手を挙げて万々歳。救えなくてもしょうがねぇ。そんな気持ちでやればいいのさ。まぁ...愚者の声をそのまま聞き入れるな。死ぬぞ。」
「死......ぬ?」
人々に殺される英雄。
それは必然か偶然か。英雄を辞めた者だけが生き残っているのは──────。
闇を打ち払う存在が勇者だとするならば、英雄は差し詰め、その光を強める者。
だか英雄と勇者が守っているのは、光か闇か。
「ん〜〜〜〜。まぁ...今はそんな重要な情報じゃない。それより今は、お前の職業適性を測る方が優先だろう?」
そうだった。レギトが急に長話を始めるもんだから忘れていた。
職業適性。それは文字通り、職業の適正を測るものだ。職業は様々な職種があり、有名どころでいくと勇者とか剣聖とかだろう。
適性の測り方は簡単。適性を測るための水晶に手を翳すだけ。職業の力は自分の適性を測った後から使用可能になるので、誰でも剣聖になれる可能性はある。逆にそれまでどれだけ鍛錬を重ねていても、適性が異なれば努力は一瞬で水の泡となる。
「起動」
その一言で目の前に置いてあった水晶玉は紫色に光る。水晶からは機械的な音が鳴り響き、フォンと音が鳴る。
「さぁ、手を翳せ」
レギトの命令通り、水晶に右手を軽く乗せる。水晶はヒンヤリとしており、ずっと触っていたい程だ。少し見窄らしいこの家とは真逆のような、水晶だ。おそらくとてつもなく高価な物だろう。
触れてから10秒ほど経っただろうか、水晶の紫色はなくなった。その代わり、プリジェクトマッピングのように、空間に自分の職業適性、そしてステータスが顕れた。
「これが......」
ステータスなど生まれて初めて見た。
自分にまだ親がいた頃は、友達がステータス自慢をしてたっけ...。
確かステータスは───
「ステータスは、知恵、力、速さ、耐久と分けられる。そしてステータスは、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、SSSS、SSSSSの評価によって表される。細かく説明すると、Eは0〜100、Dは101〜200、Cは201〜300、Bは301〜400、Aは400〜500、Sは501〜600、SSは601〜700、SSSは701〜800、SSSSは801〜900、SSSSSは901〜999、だ。まぁ実際のところ、S以上のヤツなんて魔族以外そうそういねぇな」
流暢に説明を始める。その瞳には熱が宿っており、ステータス結果を今か今かと待ち望んでいるように見えた。
「知恵は、魔力、魔法に関係するもので、魔法を行使すればするほど上昇する。高ければ高いほど、魔法行使速度、魔法行使数、魔法の威力が上昇してゆく。力は文字通り力。力一杯剣などを振る事で上昇する。高めれば自身の全身筋力量や体力、握力が強くなる。速さはスピード。全速力で走ることにより上昇する。高めれば自分のトップスピード、平均速度が上昇する。耐久は攻撃を受けた時の違い。高ければ高いほど、受けるダメージが少なくて済む。まぁざっとこんなもんだな。」
僕は空間に映っている僕のステータスを見ながら、今までレギトが言っていた事を思い出す。
E〜SSSSS……自分はEだろうか、それとも何か天武の才でも持ち合わせたりしているものなのか。
「それで、お前のステータスは───」
あと2話ぐらいしたらカッコよくなるから我慢してくれぇぇ!