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本編

土曜日、渋谷のハチ公前に立つ。


「早く着きすぎたな。」


と1人で呟き近くのベンチに座る。


今日は乃彩と2人で遊ぶ予定だ。


映画を見て服を買ったり、、、色々する予定だ。


乃彩とはかなり打ち解けたと思う。


実際乃彩も話す時につっかえることが無くなった。


俺に対してだけだけど。


スマホの画面を見ると9:45の文字。


10:00に待ち合わせなので15分も早くついたことになる。


ネットサーフィンでもして待つかと思ってスマホのロックを解除すると


「すいません!お兄さん1人ですか?」


見ると見知らぬ女性が目の前に立っていた。


背は俺より少し低く鮮やかな金髪をしている。


メイクもバッチリ決まっていて黒いTシャツに白黒のカーディガン。


デニムズボンに白い帽子。首にはヘッドフォンをかけている。


歳は俺とあまり変わらないようにみえる。


ギャルっぽい見た目だ。


「はい…そうですが…」


「もし良かったらこのあとどっか出かけません?」


逆ナンってやつだ。


街に出るとたまにされる。


正直めんどくさい。単純に逆ナンされるのなら嬉しいがたまにしつこい人もいる。


そういう人が1番めんどうだ。


「あー、人と待ち合わせしてて」


できるだけ笑顔で返す。


「相手が来るまでの時間でもいいんで!」


これで引き下がらないか…


「うーん、でももうすぐ来ると思うんでまた次の機会に」


「わかりました」


少しガッカリした表情で去っていく女性。


一息ついて辺りを見回すと鬼のような形相で(目元は見えないので恐らく)こちらをみている乃彩がいた。


とりあえず駆け寄る。


「えっとおはよ!」


「おはようございます。良かったですね。逆ナンされて」


明らかに怒っているような態度だ。


「いや、正直面倒だし断ったよ。」


「その割には楽しそうな表情でしたけどね。」


「いや、態度悪くするわけにもいかないじゃん?」


「へーそーですか」


と全く信用していないような返しをされる。


なにを怒っているんだろうか。


よく分からない。


しかもなんか敬語だし。


「えっと、とりあえず映画行こっか!」


とわざと少し大きな声でいうと


「そんなおっきな声出さなくても聞こえてるって」


と少しクスッと笑った表情をしてくれた。


よかった。怒ってないっぽい


と心の中で安堵して映画館へ向かう。

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