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本編

家に帰って考えてみても分からない。


なんで俺に東さんがNoaさんだということを言ったのだろうか。


無性に気になる。


俺は普段あまり人に興味が無いタイプだ。


だからこそなんでここまで東さんを気になっているのかも分からない。


なんとなくDMを送るのは気まずいし、、、


ずっと考えていた。


ご飯を食べながら、お風呂に入りながら、さらにはゲームをしてる時でさえ、、、


そのせいで集中して楽しめない。


心に霧がかかったようにモヤモヤする。




一晩考えた。


決めた。


なぜ彼女が俺にNoaさんということを伝えのかは分からないままだが自分がこのあとすることを決めた。


学校では東さんは普通だった。


いつも通り誰とも話さずつまらなそうに授業を聞き、、、


まるで昨日のことなどなかったかのように




放課後


俺は校舎裏に東さんを呼び出した。


ネットサーフィンをしながら待っていると足音が聞こえた。


音が聞こえた方向をみると東さんがいた。


来た。来てくれた。


「ど…どうしたんで…すか?」


と聞く東さん。


俺は深呼吸をした。


「東さん」


名前を呼んだ。


「は…はい」


「俺と友達になってくれないかな?」


東さんはキョトンとした顔していた。


前髪にかかって目は見えないがなんとなくそんな気がした。


「え…えっと…」


返答に困っている様子の東さん


「昨日さ東さんがNoaさんって教えてくれたじゃん?じゃあリアルでも仲良くしたいなって思ったんだ。いつか会いたいとも思ってたし」


「そ…そうなんで…すか…」


これは半分嘘で半分本当だ。


リアルでも仲良くなりたいとも思ってた。だけどそれ以上に彼女のSOSなんじゃないかとも思った。


以前DMで友達を増やしたいと言っいた。リアルだと誰一人として友達がいない。Xの人がリアルにいたらなぁ


なんてことを。


だから彼女は俺に友達になって欲しかったんじゃないかなとも思った。


真相は分からない。


勘違いだったら恥ずかしい。


だけどそれ以上にそのSOSかもしれない彼女の告白を無視はできない気がした。


「で…いいかな?」


と聞く。


「は…はい…」


と答える東さん。


よっしゃあ!心の中で喜んだ。


あれ…なんで今喜んだんだ?


一瞬モヤっとした。彼女の助けになれるかもしれないことは確かに喜ばしいことだ。


だけどそれとは違う喜びを感じた。


「じゃあ敬語やめよ?同い年でしょ!」


「は…はい…えっと…うん」


と小さい声で返す東さん。


「じゃ…じゃあ…わた…私のことも…の…乃彩って…呼んで…」


ドキン。


心臓がはねた。


別に女子の名前呼ぶことは普通だ。


恥ずかしがることでもない。


だけどなぜか東さんの名前を呼ぶことを恥ずかしいと思う。


なぜだろう。


しかしここまで来て無理とも言えないので呼ぶことにする。


「えっと…乃彩」


きっと頬は真っ赤だったと思う。


「うん!」


乃彩の大きな声が聞こえた。


その瞬間、一瞬だけ、笑顔が見えた。


目を隠した前髪がはねきちんと彼女の顔が見えた。


可愛かった。


学校、いや、これまで出会った人の誰よりも。


「これから…よろしくね」


呆気にとられて返事をするのに数秒かかった。


彼女はキョトンとした顔をしていた。


すぐに平静を装って


「おう!こちらこそよろしくな!」


と返す。


「じゃあ一緒に帰ろうか」


「へぁやぇ!」


言葉にならない声をだす彼女。


思わず吹き出しそうになった。


笑いそうなのをさとられないように上手くこらえる。


「ダメかな?」


「ううん…いいんだけど。誰かと…帰るのとか…初めてで」


ぎこちない様子で返答する彼女。


タメ口にまだ慣れていないんだろうか。


辺りは夕日に包まれて赤くなっていた。


「じゃあ帰ろう。」


と彼女笑顔を向ける。


「うん。」


2人で歩き出す。


夕日に照らされた影はアスファルトの上を長く伸びていた。

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