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12話-8
「く…離れろ!」
-ドガッ-
『がッ!』
シルヴァは俺を突き飛ばした
俺の右腕は斬られ
左腕はシルヴァの張った力場による圧力でボロボロだった
「由月ッ!」
「「ゆづ兄ぃ!」」
「ゆづ君!」
「……く…予定外だ
ここまで時間を取られるとは…」
-ゴゴゴゴゴ…-
「…時間が無い
なら…優先すべきは…」
「え?!」
「あ!?」
「惟?!」
「舞ちゃん?!」
「……さようならだ」
-バシュンッ-
シルヴァと共に惟と舞は消えた
(…しまった…惟と舞を……)
-ゴゴゴゴゴ…-
(この…揺れ……まさ…か……)
その瞬間
由月は絶望した
瑠名が殺された事
イヴが連れ去られた事
…そして、これから起こるだろう事
全てに
そして、願った
シルヴァを誰かが止める事を
そして、思った
もし生き延びたならその役は自分がやろうと
地響きが大きくなり
止まらなくなると
やがて、槻白家一帯の地域は光と共に
世界から消滅した
第12話 裏切りと絆