81/211
12話-3
「嫌ぁああああッ!!」
誰かの悲鳴が頭に響いた
でも、それが誰の声なのか
俺にはわからなかった
槍の刃はすでに俺を貫通し
俺の後ろで鮮血で刃を湿らしていた
「……殺ったな」
俺は痙攣しながら槍を掴む
息も絶え絶え
目も虚ろだ
『…が…あ…あ…ぐ…
………ふ……ふふッ』
とても苦しい
けど、俺は笑ってみせた
出来る限りふてぶてしく
そして、言った
『……それは……こちらの台詞だ…!』
そこで俺の思考は暗闇となった
-ズシュッ-
「……!」
ミイラ男の胸に銀色に輝く刃があった
先のような短剣…ナイフでは無い
日本刀ほどの長さでありながら
しかし、それは両刃剣であった
ミイラ男が後ろを見る
そこにあったのは
二人の影が重なり合った場所
…そして、その影に輪郭が縁取られて行く
そして、徐々に徐々に立体へと…
やがて、現した姿は
蒼い髪と同じ色をした瞳
そして、漆黒のニット…
藍坂由月に他ならなかった
『……秘技・影浸隠刀
とでも言おうか』