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11話-4
-同日-PM6:12、繁華街
『ん?
…もう、こんな時間か
そろそろ帰らないとな』
「…本当だ、時間経つの早いね」
『…仕方ないな、帰るか』
「待って!
…その前に…寄りたい場所があるの」
『うん?
何処だ?』
「あそこ」
瑠名が指差した場所は山を少し登った場所にある展望台だった
…ロープウェイを使えば15分程度で着く
それくらいは許容範囲だった
-同日-PM6:34、展望台
「綺麗だね…ここからの景色は」
『そうだな…』
夕闇に染まりつつある景色は
俺にも少しばかり、Senchimentaruな気持ちにさせた
それと、同時に前の世界での…展望台の思い出を思い出していた
そこでは"瑠奈"との思い出より
"沙由"との思い出が多かった
それに、俺が消えたのも展望台の近くだった
「…ねぇ、お兄ちゃん」
『何だ?』
「私ね………ううん何でもない」
『何だよ?それ…』
「何でも無いの!
それより…」
『うん?』
瑠名はこちらに向き直り、
微笑んだ
「今日はありがとね
楽しかったよ」
…でも、俺は…
『ああ…』
…その笑顔が哀しそうに感じたんだ…
『…俺も楽しかったよ』