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11話-3
-同日-PM3:21、繁華街
瑠名の言った様に俺達は目的もなく、ぶらぶらとしていた
何となく気になった店に入ったりして過ごしていた
案外、時間の経つのが早くすでに3時間近く経っていた
夕方には飯があるので帰らないといけないが
この分だとすぐだろう
『…お、これ、いいな』
「え?あ…」
夏用のニットが飾られていた
(……そういえば、あのニット帽どうなったんだろう?
……世界の消滅と共に消えた…か)
「…夏用…なんて、あったんだ」
『俺も、冬にやるモンだと思ってた』
(……一年中してたけどな)
「……ねぇ、冬用なら…あるよ」
『ん?
そうか……ん?』
「…去年のクリスマスに渡そうと思ったんだけどね
間に合わなくてね…」
『間に合わない……
……手編みか?』
「……うん
私が…お兄ちゃんにって…編んだの」
(やっぱり…!)
『……じゃあ、さ
そのニット帽…くれないか?
クリスマスには早過ぎるけど』
「…貰ってくれるの?」
『もちろん』
「うん…じゃあ…冬用だけど……帰ったら渡すね」