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10話-4
-同日-PM0:12、百貨店、文具コーナー
私はあの後、ひとしきりお兄ちゃんに抱き着いて涙を声を噛み殺しながら泣いた
そして、私は由月と共に絵の具を買いにきていた
『…でも、どうしたんだ?
今日は一人で行くなんて…
一人で外に出るなんて……久しぶりじゃないか』
由月は意図的に"あの日"と言う言葉を使わなかった
「…このままじゃ…駄目だと思って…
…お兄ちゃんにずっと迷惑かけるの…嫌だったから…」
『俺は別に迷惑だなんて思ってないよ』
「…でも、それじゃ駄目なの!!」
『……そうだね
瑠名はそう思ったから、一人で行こうと思ったんだね
…その意志は尊重してあげないとね』
「…お兄ちゃん」
『ん?
何だ?』
「…あ、あのさ
よかったら…今日このまま…一緒に遊ばない?」
『…え?
まぁ……別にいいけど?』
「じゃあ、決まり!
確か、地下にカフェがあったから
そこで、お昼食べよ!」
『ああ…っと、そうだ
それなら、家に連絡…しとかないとな』
「じゃあ、私はその間、これ(絵の具)
レジに持っていくね」
『…一人で大丈夫か?』
「もう!大丈夫だよ!」