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5話-6
『沙夜ちゃ…』
「どいて!
ゆづ君がまたあんな事になっちゃいけない!」
『あんな事…?!』
「駄目…ゆづ君が……死ぬ…死んでしまう…!!?」
『え…あ…あああっ
死ぬ…?!
藍坂先輩が…!?
あ!
…あああああッ!!』
私はその場にしゃがみ込んだ
「…私、止めないと…!!」
-タッタッタッタッ…-
(死ぬ…!?
由月先輩が…?!
あ…ああ…そうだ
あの時…
"河月"先輩は…
死んで…
私は……何も出来ず…
あの人は…
消えた……
…そう
…消えたんだ…)
…………
『……!』
私はしばらくしてやっと、我にかえった
『あ…私は…何を……?!
…沙夜ちゃんは!?』
槻白沙夜の姿は何処にもなかった
『くっ…!!』
(早く…探さないと……!!)
私は先輩の向かった方向に走っていった
おそらく彼女もそちらに向かったのだろうから
…多分、彼女も
さっきの私と同じで…
思い出したんだ…
だから…
きっとこのままでは由月先輩が死ぬって幻想に取り付かれて…
目覚めたんだ…
もう一人の彼女が
…紺野沙由が
第5話 彼女の名は