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『来る事は無い昨日を想う』12-3
その下には誰かがいた
誰か……それは瑠月だった
そして、そのままでは板が彼女に直撃するように見えた
俺は飛び出せる位置にいた
俺に迷ってる時間はなかった
-ガシャァンッ-
土が舞い上がり、煙たい不快な感触を肌に感じた
『う…くっ…』
咄嗟に俺は右腕を盾にしたらしい
制服は破れ
右腕からは血が出て…いなかった
「あ……雨月……さん?」
俺の下で瑠月が呟いた
俺は答えようとしたが全身に力が入らなかった
何が額から流れ、頬をつたう感覚があった
そして、それが地面に落ち赤い斑点模様がいくつか出来た
どうやら、ぶつけてしまったらしい
そして、右目の視界がおかしかった
奴らの影がどこにいったのかわからない
身体に受けたダメージが思ったより深刻なのかも知れない
「雨月さん!」
惟が駆け寄ってくる
俺は惟と瑠月を見て
崩れ落ちるように脱力した
意識を保つのに精一杯だった




