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『来る事は無い昨日を想う』12-2
「昨日と一昨日、見ましたよ
素敵でした」
『…う
昨日の話はやめていただきたい…
……ん?
貴女は確か弱視でしたね
見えたんですか?舞台とか…』
「私が差し上げたペンダントを持っていたでしょう?
あれの力を私は感じとれるんですよ」
まるで、オカルトだな
なんて、言葉が浮かんだが俺が言えた事でなかったので言わなかった
もっとも、彼女は感じとったかも知れないが
「昨日の退場劇の時も、私の横を駆け抜けていかれましたし
一瞬だけど、綺麗…いえ、華麗でした」
『っ!
そ…そうだったんですか…』
そんな余裕などなかったから全く知らなかった
と、その時
俺は奴らの影を視界の端で捉えた
(ッ!
こんな時に…)
俺は影を目の端で追った
やがて、それは一つとなり…
『…あ!』
運動場にあるステージの端を通りすぎて行った
そして、その時、ステージの端に張り付けてあった板に当たり
板はその場所から剥がれ、落下しようとした




