204/211
『来る事は無い昨日を想う』11-2
「優秀賞は演劇部です!
…では、演劇部の皆さんは舞台まで来て下さい!」
司会者らしき女生徒の言葉で俺は意識を取り戻した
もっと前置きがあったはずなのだが、半分まどろんでいた俺はその部分を聞き逃していた
と、言うかやっぱりオカ研じゃなく演劇部で通ってるんだな
と、思った
「じゃ、雨月君
また、お姫様抱っこでお願いね」
『…何、言ってるんだ?』
「演出の一環よ」
『普通だって、問題ないだろ?
海月も何か反論しろよ』
「………」
『…海月?』
「どうやら、藍ちゃんは足がしびれて動けないみたいね
…ね、雨月君」
『足がしびれてるって…』
俺達が座っているのはパイプ椅子だ
『…そんな事あるのかよ』
「……あ、あの…」
海月が何か言いかけた時だった
「演劇部の皆さーん
早くして下さーい」
舞台から司会者の女生徒に急かされた
「議論してる暇は無いわよ
藍ちゃんが動けないなら…仕方ないでしょ?」
『…わかったよ』
俺は渋々海月を抱えた




