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『来る事は無い昨日を想う』11-1
こういうのを顔から火が出る、と言うのだろうか?
「ほら、二人共
俯かない」
『ぐッ…!』
俺は開き直って笑ってみた
しかし、それは引き攣った微妙な笑みで
後から聞いた話ではシンデレラなのに凛々しかったと言われた
一方、海月は俺の首に回していないほうの手を振っていた
頬が紅潮していた
そして、その時
彼女の足がプルプルと震えていた
-同日-PM4:28
なんとか、行進が終わり
俺はすぐさま着替えようと部室に向かおうとしたが、
部長に呼び止められた
「待ちなさい
体育館で、優秀賞の発表があるわよ」
『…優秀賞?
なんの?』
「行進に決まってるでしょう?」
『わかった
じゃあ、着替えてから…』
「何言ってるの?
そんな訳無いでしょう?
ほら、野球部もユニフォーム着たままでしょう?」
『………』
「かえって浮くわよ?
ほら、行くわよ」
『………了解』
…終わったのに、海月の顔色が優れないのは
まだ、この状態じゃないといけないからだと思っていた
…その時は