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『来る事は無い昨日を想う』10-5
『嫌な予感しかしないんだが…』
「別にたいしたことじゃないわ
…青海君をお姫様抱っこしてあげて
海月ちゃん」
「え…」
『な…何言って…!!』
「だって、王子様がお姫様抱っこするのは当然でしょ?」
『…当然…なのか?』
「で、でも部長…ボクが雨月を抱えられるかどうか…」
『…ああ、当然そうなるな』
「…うーん
じゃあ仕方ないわね
…青海君
あなたが抱えて」
(……そうくるか)
結局、仕方ないので俺が抱える事になった
『よっ…と』
「だ、大丈夫…?
雨月、重くない?」
『…大丈夫だ
手を肩に回して落ちないように』
「う、うん」
海月は右手で俺の左肩を掴んだ
ふと、周囲に気を配ってみると
黄色い歓声らしきものが聞こえた
男女共に俺達を注目していた
そして、その理由が俺達の容姿に対する憧れに近いものだと気付いたのは
『能力』を使ってからだった
第10話 王子様でお姫様で