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『来る事は無い昨日を想う』10-3
…………
………
……?
世界が元に戻らない…
俺が首を傾げた
その時、崩壊したはずの"奴"の残骸が収束し
その姿を形成した
『…ぬかったか』
だが、それならもう一度斬ってみるだけだ
俺が三度、剣に手をかけようとしたその時
"奴"はその姿を現した
『−−−−ッ!?』
どこかで見た事がある姿だった
(……いつ?どこで?
…ずっと昔
…子供の頃
朝に…
…顔を洗う…時
…洗面所の
…鏡の中で)
そう、
ソレは
"奴"は
幼少の頃の俺の姿をしていた
(−−−ッ!!)
不愉快だった
とても
だから、俺はその姿を掻き消そうと
剣を強く握り
深く
速く
踏み込んだ
だが、"俺"の姿をした"奴"は
軽く跳躍し
剣は"俺"の下の空を切った
だが、構わない
(それなら、次のエモノを使うだけだ!)
俺の左手が右の腰に延びる
『ミナ……』
その瞬間
世界は元の姿へと引き戻された