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『来る事は無い昨日を想う』10-1
-同日-??、??
……ナンダ?
こノ感覚…
………
…"奴ラ"、カ…
俺が見ている世界は静止し
その色彩を失い
モノクロで
なおかつ
光が世界の外側にあって
世界の全てが影に包まれているかのようだった
俺の瞳がこの世界を捉えられるのだから
多分、『この世界』は
俺の右眼が見ている世界なのだろう
だから、左眼の視界は無い
『世界』が人々の『世界』をのみこみ影によって支配され
皆が生きる『世界』が静止し
"奴ら"の存在する『世界』にした
詳しい事は俺にもわからない
でも、元の世界に戻す事が出来るのは多分
俺だけなのだろう
瞳が世界を認識しても身体は静止したまま
だが…
俺の右腕は違う
-ググ…ガッ!-
世界の静止を振り切り
右腕が活動を開始する
そして、右の掌が左の腰の"何も無い場所"に当たる
-チリン…-
鈴の音が鳴った
それが合図だった
『…名無!』