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『来る事は無い昨日を想う』8-3
-同日-PM0:18、部室
部室に着くと
緊張の糸が完全に解れ
誰からともなく歓喜の中で抱き合った
俺も浮いた気持ちのまま輪の中で抱き合っていた
ふと我にかえると俺の腕は海月を抱いていた
「青海君」
俺は部長が話しかけてきたのを好機に海月を放した
『部長』
「どうだった?演劇」
『何ていうか…感激…感動しました』
「だったら、雨月
助っ人って事だけど正式に入部しない?」
『そうだな…それも悪くない』
「じゃ、決まり!
いいよね?」
『…ああ』
「じゃあ、改めて歓迎するわ
青海 雨月君」
『…改めてよろしく』
「じゃあ、明日もよろしくね」
『明日?演劇は今日だけじゃなかったっけ?』
「明日は行進があるんだよ、部活の、ね」
『へぇ』
「一応、衣装着てする事になってるけど…雨月の分はどうなってるのかな?」
「私がちゃんと用意するから大丈夫よ」
『ん…そうか』
…この時、俺達は気づいていなかった
部長の目が妖しく光っていたことに