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『来る事は無い昨日を想う』7-5
世界の歪みが生み出した存在
それが奴らだ
黒い陰が奴らの体だ
中は透き通っていてがらんどう
生き物のように動くが生物かどうかはわからない
…仮に生物なら
俺が行う行為は殺戮なのだろうか…?
…"歪み"は放置するとさらに大きな歪みを生む
ただの人の目に奴らは見えない
だから、人々は歪みがある事など知らない
…だが、俺は見える
この蒼眼で捉える事が出来る
『…ハァ』
溜め息混じりに俺は腰に手を伸ばす
-罪…だとは思う
お前の行為は
だがな、罪の無い人間なんていないんだよ-
『………』
(人と化け物の境界……
それが俺……)
掌を見る
(血塗られた掌を血で洗う…
俺は……罪深き存在…
…殺戮者…)
何故、俺はそんな事をするのかわからない
忘れてしまった
(でも、奴らを放っておけば世界は崩壊する
それを知っている……)
一呼吸置くと
俺は奴目掛けて駆け出した
-キィンッガシャッガガッ…グチャッ…-
-グォッグジュッ…グジュジュッ……グジャアアッ…-
第7話 境界線