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『来る事は無い昨日を想う』6-7
そのまま、なし崩し的に沙恵の希望通りに事は進んだ
俺はコーヒーを
沙那は紅茶を
沙恵はココアを注文した
全員、らしいと言えばらしい注文だった
ちなみに全員ホットだ
注文が来るまでの間
なんとも言えない空気が流れた
楽しいと言う訳じゃないのだが、気まずい訳でもなかった
沙恵だけが、ニコニコしてて
沙那は未だに状況が把握出来ず
少し、戸惑っていた
俺はと言うと
この場で、本を開く訳にもいかず
携帯に保存されているワルキューレを聞く訳にもいかず
ただ、口元…鼻の下まで上げていたマフラーを顎の下まで下ろし
コーヒーが来るのを待つ事にした
しばらくして、全員の注文がウェイトレスに運ばれて来た
…何故かそのウェイトレスが沙恵と同じか年下の少女に見えたのは深く追求しない事にした
『ん…美味い…』
「ここは何でも美味しいんだよ
うづ君」
『そうみたいだ…』
「…えっと…ところで
そろそろ教えてくれませんか?
青海さんと沙恵が何故知り合いなんですか?」
『ん…
それは…なんて言うか…』
「…うづ君が私の事助けてくれたのです」