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『来る事は無い昨日を想う』6-6
その時、後方から気配がした
振り向こうと思った瞬間
声が飛んできた
「あれ?
沙恵、どうしたの?」
「あ、お姉ちゃん」
俺は体を開くように半身だけ振り向いた
「…青海さん?」
俺は会釈するように頷いた
「あ、そうです!」
『?』
俺は顔だけ沙恵のほうを向く
「じゃあ、お姉ちゃんなら…いいですよね?」
「『え…?』」
俺と紺野沙那の反応はシンクロした
「私じゃダメなんですよね?」
『ああ…うん』
「じゃあ、お姉ちゃんならいいでしょ?」
『あー…と
…そう…なる…のかな…?』
「じゃあ、決まりです!」
「あの…なんのことか全く分からないんですけど…
…青海さん?」
沙那の頭から?マークが出ていた
『あ…えーと』
どう説明すべきか迷った
「お姉ちゃん
お姉ちゃんはうづ君にそこの喫茶店でお茶をご馳走すればいいんです」
「…うづ君?」
『…俺の事なんだが…』
「青海さんが?
はぁ…」
「お金は私が渡します
だから、お願いします、ね?」
「えっと…
うん…まだ、よくわからないけど…」