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『来る事は無い昨日を想う』5-6
-同日-PM8:03、自室
ソレはいつの間にかずっと付き纏うように…
…いや、違うな
"奴は俺"であるのだから…
俺の視界の何処かに潜む…
もう一人の俺
俺にしか見えない
けど、確実に存在する
俺の能力と…関係は…
恐らく無いだろうが…
俺に語りかけてくる
その容姿は
俺なのだから俺に酷似する
ただ、唯一
髪色だけが微妙に違う
俺のダークブルーと
海月のスカイブルーの間をとったような
極めて蒼に近い青
奴は薄ら笑いを浮かべながら俺に話しかけてくる
俺が望む、望まないに関わらず
-「意外…だって?
何を言ってる
むしろ、当たり前だろ」-
『何がだよ』
-「…そうやって、わからない演技をする」-
『ッ』
-「解るだろう…?
本当は…」-
『なんの…事だよ』
奴が呆れたようにため息をつく
-「そうやって、演技をしてるのさ
今だって」-
『馬鹿な事を言うな』
-「馬鹿な事か?
真実だと思うがな」-
『何が…何処がだよ…ッ…!!』