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『来る事は無い昨日を想う』4-2
「考え事ですか?」
『……』
俺は無言で頷いた
俺はあれから
神白 惟に会ってから
頻繁にあの日の事を思い出してしまう
惟と舞は似ていた
外見だけじゃない
内面もだ
あの日見た神白 惟の魂は
舞のソレと酷似していた
容姿も似ていない訳じゃなかった
舞の髪色が蒼である事を除いて
もちろん、死んだ時期の関係上
身体年齢による相違はある
だが、舞が生きていたら
そうなっていただろうと言う容姿を神白 惟はしていた
髪色も蒼とは言え
舞は俺…いや、海月よりも明るい色をしていた
そう、極めて白に近い色を
「雨月さん」
そう、呼ばれて
俺はハッと我に返った
『…あ…ごめん…邪魔だったかな?』
今日も瑠月は画を描いていた
「いえ、いいんです
でも…余計なお世話かも知れないですけど…食べないんですか?」
俺の膝の上には
3分の1も食べてない弁当があった
俺の手作りだ
『…いや…いいんだ
食欲が……
…残すよ』
「…勿体ないですよ?」
『…じゃあ…君が食べてくれるか?』
「え?」
瑠月はキョトンとしていた
恐らく、予期せぬ答えに思考が停止したのだろう
『…ふっ
冗談だよ、冗談』