160/211
『来る事は無い昨日を想う』3-6
神白 惟が差し出したのは十字架のネックレスに見えた
しかし、よく見るとネックレスにしては少し短い
「私が作った…お守りです
…貴方は何か…邪なものに取り付かれてるみたいですから…」
『っ…!』
蒼眼で見た十字架からは力を感じた
(この娘は一体…ただのシスターがこんな物を…?
それに…俺の事を…)
『…有り難く受け取らせてもらいます』
俺は右の手首に十字架のチェーンの部分を二重になるように巻いた
ちょうど、掌の真ん中に小さな十字架が当たった
『…それでは、さようなら』
「さようなら
…また逢う日を願ってます」
『………』
俺はそのまま振り向いて歩き出した
……神白 惟は…あの子に似ていた
まるで、生き写しのように
…青海 舞-オウミ マイ-
死んだ俺の妹に…似ていた
第3話 1stDAY(後編)