『来る事は無い昨日を想う』3-1
-同日-教室、放課後
(…藍坂…瑠月か…
あの娘……初対面なんだよな……?)
実を言うと違和感を感じていた
ずっと以前に会った…
いや、知っていた気がする
しかし、海月達とは十年程前に会った事はあるが
その時、瑠月を見た記憶が無い
海月の他に彼女の友達だと言う子…二人程と会った記憶はあるが…
「雨月」
海月が鞄を持った状態で立ったまま俺を見下ろしていた
『ん?
なんだ、海月』
「ボク、今から部活に行くから
ここで、今日はお別れだよ」
『ああ…そうか
…また、明日』
「うん
………雨月は、部活やらないの?」
『まぁな
そういう面倒なのはパスだ
ところで、部活って何やってんだ?』
「部活はオカ………ううん
演劇部……みたいな感じかな?」
『うん?
…そうか、演劇部か』
「う、うん
じゃあ、ボク行くね」
『ああ』
海月は教室を出て行った
(…心が…揺らいだ…動揺したな…
何か…言いづらい事でもあるのか?)
…俺はある日から
超能力、魔法…そんな感じの能力を持つ事になった
魂や心の状態を炎や光としてその人間の身体の前に見えるようになる能力だ
…それが俺の右の蒼瞳の持つ力だった
(…まぁ…いいか
……帰るか)
そう、思い
俺は立ち上がった