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『来る事は無い昨日を想う』2-1
-10月1日-AM8:50、教室
俺のクラスは海月と同じ2-Dだった
恐らく、夏月が配慮したんだろう
簡単に自己紹介した後
席に着いた
偶然かこれも配慮なのか
海月の後ろの席が俺の席だった
俺が座ると海月が振り返って話し掛けてきた
「同じクラスになったね、雨月」
『そうだな、海月』
「ところで…そのマフラーと手袋
学校の中でも着けたままなの?」
『ああ………
…首周りと右腕に昔おった火傷の痕があってな…』
教師にもそう説明した
「あ…そうなんだ…
…聞いちゃいけない事だった?」
『いや
……大丈夫だ』
「そっか
…それはそうと…
歓迎会、いつにしようか?」
『そんなのいいのに…』
「ダメだよ
…それに、お姉ちゃんは一度言うと聞かないから」
『…好きにしてくれ
別に俺はいつだっていい』
俺はマフラーで覆われた首に向けて
下から腕を突っ込み
ネクタイを緩めた
鈴廻守の高等部の制服はブレザーだった
「藍坂せんぱーい」
その時、海月を呼ぶ声が教室の前から聞こえた