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『来る事は無い昨日を想う』1-6
俺は何故かとっさに飛び出していた
「なんだ?お前は?」
少し、返答に困ったが
こう答えた
『俺?
俺は……ただの通りすがりの……高校生だ』
「あ…あの…た…助けて…」
女の子は泣きそうな顔で言っていた
…少し、可愛いと思った
現に可愛いかった
『ああ
わかった』
「なんだよお前!
何の用だよ!」
『いいから
大人しく帰りな
それが1番賢い選択だ』
…俺の蒼眼は奴らを完全にとらえていた
「馬鹿が!
3対1で勝てると…」
『……使うまでもないな』
「は?」
『えっと、君
少し、目を閉じてな
すぐ、終わる』
「あ…はい」
「調子に乗りゅ…」
-バキッ-
相手が言い終る前に俺の上段蹴りは顎にクリティカルヒットしていた
-ドサッ-
一人は気絶していた
残りの二人が今の一瞬で恐怖を感じたのがわかった
俺は上目遣いで前髪の間から睨んだ
こうするのが1番効果的だった
『二度と同じ事を言わすな』
「ひ…ひぃ…」
「うわぁあッ!」
残りの二人は逃げ出した
二人が完全に見えなくなるのを確認して
気絶した男を道の端によせると
俺は女の子の肩を叩いた