『来る事は無い昨日を想う』1-3
「…酷い時はね
クラゲとか言われるんだよ」
『…クラゲ?』
(…ん
もしかして…)
『海月でミヅキ…だからか?』
「うん」
(成る程な)
俺はたった、今
彼女の名前が藍坂 海月-アイサカ ミヅキ-だと言う事を知った
「雨月君、着いたわよ」
夏月が運転席から後ろに振り向いて言った
『あ、はい』
「ああ…そうだ
今度、雨月君の歓迎会しないと、ね」
『そんなのいいですよ』
「駄目よ
そういうのはちゃんとしないと
ね、海月」
「う、うん」
『はぁ…』
その時、コンコンと車の窓を軽く叩く音が聞こえた
その、方向を見ると
穏和そうな老人が立っていた
「ああ、寮長ね
さ、雨月君、早く」
『あ、はい』
俺はすぐに荷物を持って車のドアを開けた
「じゃあ、寮長
雨月君をお願いね」
「わかりました、学園長」
「雨月君
手続きはすでに終わってるから
休む時間が少ないかも知れないけど
明日から君は高等部の生徒だから
…詳しい事は明日、二年の職員室で説明されるわ
後、制服は多分、すでに部屋に届いてるはずだから」
『あ、はい』
「寮生活で困った事があれば寮長に
学園生活に困った事があれば私に相談してね
それじゃ」
『はい、それじゃ』
その時、海月が窓から何かを言いそうな眼をしていたが
次の瞬間には車は走りだしていた