『来る事は無い昨日を想う』0-2
-同日-同時刻、同所
俺は彼女に声をかけられた
彼女と会うのは10年ぶりだったから
彼女を見つけた瞬間、彼女だとわからなかった
彼女は俺の前に立っていた
彼女はショートカットだった
10年前の彼女は長めの髪をポニーテールにしていた
その事もあって
彼女に抱いたイメージは180度変わっていた
そして、その瞳は俺と同じ
黒と蒼のオッドアイは
やはり、あの頃にはなかったものだった
服装はと言うと
Tシャツとハーフパンツと言うラフな格好で
ハーフパンツから見える脚は白く
確かに少女のものだった
もう9月は終わりだと言うのに
夏物を着ていた
彼女はそういった格好とあいまって
ボーイッシュなイメージを俺に抱かせた
身体のラインもまだ未成熟らしく凹凸が少なく
とても、スレンダーに見えた
その雰囲気に俺はあっけにとられそうになった
彼女の容姿は確かにスレンダーだが、それでも女性的ではあったが
その雰囲気はまるで無邪気な少年のようだった
普通ならば持ち得ない
俺が今まで出会った事の無い
あまりにも特殊なものを持っていた
俺は一瞬、躊躇ったが
覚悟を決めて彼女に返答した
『ミヅキ…ちゃん?』
第0話 ガールボーイ、ボーイガール