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21話-5
『うぉおおおおッ!』
「うぁああああッ!」
互いに剣を突き出し
相手に向けて突っ込んだ
-ズシュッ-
-ザジュッ-
惟舞の剣は俺の横っ腹を貫いていた
俺の剣は惟舞の羽根を貫いていた
「…かづ……ゆづ兄ぃ……」
『…お前の力を…貰う』
「え……?」
剣は変質し
巨大な掌となり
イヴの羽根をむしり取った
「あああああっ…」
『…お前に…呪いをかけた…
…イヴ…君は…もう…神でも創世者でもない
…ただの女の子だ…』
「ゆ…づ兄ぃ…?」
『……運がよければ
…"次の世界"で逢おう』
「あ……」
力を失った少女は
光に抱かれて消えていった
『………』
…少年の背中にもう一つ
天使のような翼が生えていた
矛盾したかのような…二つの羽根が
少年の存在を現しているようだった
『…今度は…俺が…創世者か…
……いいさ
…創る
シルヴァや…イヴが望んだ世界には…多分出来ないけど
……俺みたいな存在は…有るべきじゃないんだ…』
少年は世界を作り出す
『天神みたいな存在は…必要ない…全ての力を棄てろ
…そして、神も創世者も必要無い……
始めからなかった事にすればいい
……俺が消え去ろうと…
…構わないから…』
最終話 神が消えた日