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18話-1
10月18日
AM3:56
病室から藍坂由月が姿を消した
彼が目を覚まし
マリア達の死の報告を受けてから約一時間後の事だった(時の加速により実際の日付、時刻とは一致しない)
彼の残した置き手紙にはこう書かれていた
『世界の崩壊は食い止められない
無責任な事だが
後は好きにしてくれ
俺はシルヴァを討たなきゃならない
奴らの思い通りには…させない…
いや…"ならない"
だから、俺は奴を止めなきゃならない
…願わくば
世界の最期を見届けて欲しい
そして――』
ここから先は血で汚れて読む事が出来ない
おそらくは書いている時に藍坂由月自身が吐血し汚したらしい
…
藍坂由月はマリア達
そして、瑠名、菜月、沙夜の死を知り
虚空を見つめたたずんでいたと言う
その時、彼が何を思い
何を想ったのか
それは彼にしかわからない
ただ、
その時の藍坂由月の瞳は
哀しみに極めて近い
けど、異なった
複雑な光を持っていた
……そして、彼は全ての決着を着けるべく
戦場へ向かった
いつもの漆黒の…服装と
最愛の妹から受け取った
漆黒のニットを着けて……